マックス (2015年の映画)

戦場で共に生きた、兵士と軍用犬の絆の物語『マックス』

2015年アメリカで公開された映画『マックス (Max)』は、ボアズ・イェーキン監督による感動的なドラマ作品です。日本では劇場公開されませんでしたが、2016年のDVDとBlu-rayリリースで多くの観客を魅了しました。本作は、アフガニスタン紛争を舞台に、勇敢な軍用犬マックスと彼のハンドラーである海兵隊員カイルの深い絆、そしてカイルの死後、マックスがカイルの家族と織りなす物語を描いています。

アフガニスタンでの悲劇と、新たな家族との出会い

物語は、アフガニスタンで任務に就く軍用犬マックスと、彼の相棒であるカイル・ウィンコットを中心に展開します。危険な任務の中で強い絆を育んだ二人でしたが、予期せぬ出来事が二人の運命を大きく変えます。カイルは武器の横流し事件に巻き込まれ、その後、最前線で戦死してしまいます。マックスも重傷を負い、カイルを失った悲しみの中、人間の命令に従わなくなります。

カイルの死は、彼の家族、父親レイ、母親パメラ、そして弟ジャスティンに深い悲しみをもたらします。しかし、マックスはカイルの弟ジャスティンにだけは懐き、その様子を見た両親はマックスを引き取ることを決意します。当初、マックスの存在を快く思わなかったジャスティンでしたが、次第にマックスと深い友情を育んでいきます。非行に走っていたジャスティンも、マックスとの触れ合いを通じて心を落ち着かせ、少しずつ更生していく様子が描かれます。

隠された真実と、新たな戦いの始まり

ある日、武器の横流しに関与していたタイラーがウィンコット家を訪れます。その際、マックスはタイラーに激しく吠えかかり、その行動が事件の真相解明の糸口となります。レイがタイラーから話を聞こうとしますが、タイラーはカイルの死因について、マックスがカイルに飛びついたことが原因で銃が暴発したと虚偽の証言をします。

この不可解な証言に疑問を持ったジャスティンは、独自に調査を始めます。カイルの旧友レイエスから借り受けた映像を目にしたジャスティンは、改めてカイルとマックスの絆の深さに気づき、涙します。そして、タイラーの武器の横流しに加担していたことを突き止めます。ジャスティンはマックスと共にタイラーの犯罪現場を目撃しますが、犯罪組織に追われることになり、何とか逃亡します。しかし、タイラーは自分の罪を隠蔽するために、マックスが自分を襲ったと虚偽の告発をし、マックスは当局に保護されてしまいます。

レイもタイラーの悪事を暴こうとしますが、彼らを上回る勢力に捕らえられてしまいます。父親を救うため、ジャスティンは友人たちと共に犯罪組織のアジトに乗り込みます。一方、マックスも脱走し、ジャスティンの元へと向かいます。

キャストと製作

本作には、ジャスティン役をジョシュ・ウィギンズ、マックス役をカルロス、そしてカイル役をロビー・アメルといった実力派俳優陣が出演しています。また、監督にはボアズ・イェーキンが起用され、2013年後半から本格的な製作が始まりました。撮影は順調に進み、公開に向けた準備が整えられていきました。

興行成績と評価

『マックス』は、公開初週末に予想を上回る興行収入を記録し、週末興行収入ランキングで3位にランクインするなど、大きな成功を収めました。しかし、批評家の評価は賛否両論で、Rotten Tomatoesでの批評家支持率は36%と、やや低めとなっています。

続編

『マックス』の人気を受け、2017年には続編『Max 2: White House Hero』が公開されています。

まとめ

『マックス』は、戦争の悲劇と家族の再生、そして少年と犬の心の交流を描いた、感動と勇気、そして友情に満ちた物語です。戦争によって心に傷を負った者たちが、どのように癒されていくのか、そして新たな絆を築いていくのか、その過程が丁寧に描かれています。軍用犬マックスと少年ジャスティンの友情、そして家族の温かさに触れられる、心温まる作品です。

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