マドリード王立植物園

マドリード王立植物園

マドリード王立植物園（スペイン語: Real Jardín Botánico de Madrid）は、スペインの首都マドリードにある、広大で多彩な植物の宝庫です。この植物園は、プラド大通りの東側、プラド美術館の南に位置し、8ヘクタールの広さを誇ります。特に、スペイン最大の植物標本館として知られており、100万点以上の貴重な標本を収蔵しています。

植物園の歴史

この植物園の起源は、1755年に遡ります。当時の国王フェルナンド6世の命令により、マンサナーレス川の近くにミガス・カリエンテス植物園が設立されました。最初は医師ホセ・ケル・イ・マルティネスによって、2,000点の植物が育てられる場所でした。その後、1774年には啓蒙君主カルロス3世の指導の元、植物園が現在の場所へ移転されることになります。

移転後、建築家フランチェスコ・サバティーニとフアン・デ・ビジャヌエバが設計した新しい植物園は1781年に開園しました。この庭園は3段構造で、カール・フォン・リンネの分類法に従い植物が整然と配置されています。そして、植物学教育の拠点となり、初代の植物学教授カシミーロ・ゴメス・オルテガが中南米への探検を指導し、新たに多くの植物を収集しました。

1794年にはアレッサンドロ・マラスピーナによる太平洋探検航海で集められた10,000点以上の植物が加わり、植物園のコレクションは一層充実しました。

しかし、1808年からの半島戦争により、植物園は荒廃し、長い間その機能を失ってしまいました。1857年に昆虫学者マリアーノ・デ・ラ・パス・グラエルスが園長に就任し、再建に向けた努力が始まります。その結果、新しい温室を建設し、上部庭園の再整備が行われました。この時期に動物園も設立されましたが、後にその施設は別の場所に移転しています。

1880年代から1890年代にかけて、農業省への土地譲渡や自然災害の影響で、植物園は縮小を余儀なくされました。1939年以降はスペイン国立研究委員会（CSIC）がその運営を引き継ぎ、1974年から1981年には大規模な修復工事が行われました。

現在の植物園

今日のマドリード王立植物園は、研究や教育のみならず、一般公開される美しい庭園としても知られています。訪れる人々は、四季折々の花々に彩られた園内を楽しむことができ、貴重な植物標本や展示品を鑑賞することができます。また、さまざまな植物学イベントやワークショップも開催され、訪問者が植物に対する理解を深める機会も提供されています。

公式ウェブサイトでは、更なる詳細やイベント情報を確認できます。自然愛好家や研究者、家族連れにとっても、マドリード王立植物園は見逃せないスポットです。

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