マドンナ・ヴェルデ

概要

『マドンナ・ヴェルデ』は、海堂尊による長編小説で、2009年から2010年まで『小説新潮』で連載され、2010年に単行本が出版されました。この作品は、前作『ジーン・ワルツ』の裏側で起きた出来事を描いたものであり、母親が娘のために代理母出産を選ぶという内容です。

この小説は、2011年に「マドンナ・ヴェルデ〜娘のために産むこと〜」というタイトルでテレビドラマとしても放送され、多くの人々に感動を与えました。ドラマは、原作のストーリーを基にしつつも、いくつかの設定や展開において異なる部分があり、特に結末が大きく変わっています。

ストーリー

物語は、桜宮市に住む主婦・山咲みどりの視点から展開されます。55歳の彼女は、平穏な日常を送っていましたが、ある日、東京の帝華大学で産科医として働く娘・理恵が帰省します。理恵は、自身の子宮に奇形が生じたため出産ができなくなったことを告げ、母・みどりに代わりに子どもを産んでほしいと頼みます。

この衝撃的な提案に戸惑いながらも、愛する娘のために代理母となる決心をするみどり。しかし、日本では代理母出産が法律で認められておらず、妊娠したみどりが法的に子どもの母とされることになります。妊娠が進む中で、みどりは理恵の思いも知らずに、予想もしなかった出来事が起こります。理恵は、倫理的に問題のある選択をしていたのです。

その事実を知ったみどりは、子どもの未来を守るため理恵との対立を決意します。母と娘の複雑な感情や選択、倫理的な葛藤が物語の中心となります。

登場人物

• - 山咲みどり：桜宮市に住む主婦で、55歳。若くして夫を亡くし、その後は夫の職場で秘書として働いていた。

• - 曾根崎理恵：帝華大学の産婦人科医で冷静沈着な女性。母との距離感があり、代理母出産をお願いすることになる。

• - 曾根崎伸一郎：理恵の夫で、アメリカで活躍するゲーム理論の権威。

• - 清川吾郎：帝華大学の准教授。多くの女性と浮名を流しているが、医療技術には定評がある。

• - 三枝茉莉亜：マリアクリニックの院長。末期の肺癌で余命わずかの状態。

• - 青井ユミ：マリアクリニックに通う妊婦。子供に対する葛藤を抱えた20歳の女性。

• - 丸山：みどりが参加する句会の主宰者。

書誌情報

『マドンナ・ヴェルデ』は2010年に新潮社から出版され、2013年には文庫化されました。ドラマ化された際には、原作におけるストーリーを基本にしつつも、一部に独自の解釈を加えて制作されました。

テレビドラマ

2011年4月から5月にかけてNHKで放送された『マドンナ・ヴェルデ〜娘のために産むこと〜』では、松坂慶子、国仲涼子、片桐仁などがキャストとして出演しました。ドラマのストーリーは原作に沿って進行しますが、展開や結末にはいくつかの相違点があり、その中でも特に大きな違いがあります。

また、村松崇継による音楽がドラマの雰囲気を引き立て、視聴者の心をつかみました。

このように『マドンナ・ヴェルデ』は、感情の複雑さと母と娘の絆を鋭く描いた作品として、多くの人々に深い印象を与えました。

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