マニラの戦い (1570年)

1570年のマニラの戦い

1570年5月24日、フィリピンのマニラで行われた戦闘は、スペイン軍と現地のフィリピン軍の間で繰り広げられた歴史的な出来事です。この戦闘は、マルティン・デ・ゴイティが指揮するスペイン軍とスライマーン3世率いる現地軍との闘争の結果、スペインによるマニラの占領が進み、フィリピン植民地の首都がマニラに決定される重要な分岐点となりました。

背景

スペインが香辛料貿易の重要路を確保するために行動を起こしたのは1560年代の終盤でした。この頃、ポルトガルが独占していた貿易ルートに対抗するため、スペインはミゲル・ロペス・デ・レガスピをフィリピンへ派遣しました。彼の任務は、メキシコの先住民兵士を引き連れて、新たな植民地拠点を確立することでした。

フィリピンには、1405年からのイスラム王朝が存在し、地元の首長の多くがイスラム教に改宗していました。さらに、当時のルソン島とビサヤ諸島の人口は約100万から150万と推定されますが、住民の密度は低く、スペインの進出にはある程度の余地がありました。

ポルトガルは当時、オスマン帝国と同盟を結んだ東アフリカや南アジアの勢力と対峙しており、キリスト教とイスラム教の間には敵対関係が続いていました。スペイン人は、かつてイスラム教徒の侵略を受けていた過去からの復讐の意識を抱き続けており、その影響がフィリピンへの活動にも色濃く反映されていたのです。

戦闘の経過

1570年、ミゲル・ロペス・デ・レガスピの指揮の下、マルティン・デ・ゴイティはルソン島に存在していたスルタン国を目指します。食料不足に悩んでいた時期に、この国のスライマーン3世に使者を送り、友好関係を結ぼうとしましたが、最終的には信頼が得られず、戦闘が始まることとなりました。6月にはゴイティ率いるスペイン軍がマニラを攻撃し、激しい戦闘の末にスライマーン3世は敗北し、山に逃れることとなります。

戦後の影響

1571年、レガスピは再びマニラに上陸し、スペイン軍280人と現地人600名を率いて数万人のムスリム民兵に抵抗しましたが、最終的にマニラを制圧します。

その後、1572年にマニラ市は正式に市として認可され、カスティーリャ戦争や他の戦いが続く中で、フィリピン内の他の地域에서도徐々にスペインの影響を受けていくことになります。地域の首長や王族は、スペイン領フィリピンの世襲貴族であるプリンキパリアとして新たな地位を得ることとなり、征服された地域でも新たな法律や制度が整えられ、スペインの統治下での生活が始まるのです。

この戦いは、フィリピンにおけるスペインの支配開始に向けた第一歩を象徴しており、その後の歴史においても重要な意義を持っています。

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