ママ、大変だァ!

『ママ、大変だァ!』は、1985年7月4日から9月19日まで、毎週木曜夜9時にテレビ朝日系列で放送された全10話の連続テレビドラマです。舞台は団地。栗田家、辻家、矢沢家の3家族を中心に、子供たちの騒がしい日常や、それぞれの家庭で起こる様々な出来事が軽妙なタッチで描かれています。

物語は、3家族それぞれの個性豊かなキャラクターと、彼らを取り巻く様々な問題を通して展開していきます。母親たちの葛藤、子供たちの成長、夫婦間の問題など、現代社会のリアルな問題をコミカルに、そして時にシリアスに描き出しています。

栗田家では、料理教室を開く33歳の母親・悦子と、商社に勤める35歳の夫・浩平、そして11歳の娘・めぐみの3人家族。浩平は穏やかな性格ですが、出世には恵まれていません。一方、悦子は家庭と仕事を両立させながら奮闘しています。

矢沢家では、教育ママとして知られる35歳の尚美と、広告代理店勤務の45歳・昭一郎、そして11歳の一卵性双生児の友恵と卓也の4人家族。尚美は真面目で几帳面ですが、昭一郎は仕事では出世が遅く、私生活では女性関係にだらしない面があります。

そして辻家では、活発で明るく社交的な30歳・みどり、仕事一筋の36歳・修、そして11歳の息子・晴男の3人家族。みどりは夫への不満から浮気をするなど、夫婦関係に問題を抱えています。修は仕事に熱心ですが、ケチで女好きという一面も持っています。

これらの家族を取り巻く環境もドラマを彩ります。近隣住民との人間関係、子供同士のいじめ問題、離婚問題など、当時の社会問題も丁寧に描かれています。しかし、全体としては明るく軽快なコメディタッチで、視聴者に笑いと共感を提供する作品となっています。

キャストは、高橋惠子、生田悦子、秋野暢子ら当時の人気女優陣が勢揃い。それぞれのキャラクターを魅力的に演じきり、ドラマに深みを与えています。脇を固める俳優陣も実力派揃いで、それぞれのキャラクターが個性的で印象的です。

また、脚本は畑嶺明が担当。畑は同時期に別のドラマの脚本も担当しており、その才能が本作でも遺憾なく発揮されています。演出は岩城利明、小関明、高戸晟一が担当し、テンポの良い演出で視聴者を飽きさせません。音楽は甲斐正人が担当し、ドラマの雰囲気を盛り上げています。

『ママ、大変だァ!』は、1980年代の家族像を反映した作品であり、現代の私たちにとっても共感できる部分が多く含まれています。子供たちの成長、夫婦間の問題、そして社会問題など、様々なテーマが織り込まれながらも、終始明るく軽快なトーンで描かれているため、幅広い世代の視聴者が楽しめる作品と言えるでしょう。当時、放送休止となった回もあったものの、高い視聴率を獲得し、多くの視聴者の心に残る作品となりました。

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