マリと子犬の物語

映画『マリと子犬の物語』

映画『マリと子犬の物語』は、2007年に公開された日本の感動作で、新潟県中越地震を背景とした実際の出来事を描いています。物語の舞台は、地震発生前の山古志村に住む兄妹とその柴犬、マリの絆に焦点を当てています。

原作と制作背景

本作の原作は、2005年に出版された絵本『山古志村のマリと三匹の子犬』であり、これはNPO法人「ながおか生活情報交流ねっと」の理事長である桑原眞二が、実際の飼い主から聞いた実話をもとに書かれました。この絵本の売上は新潟の復興活動にも充てられ、小中学生から広く親しまれました。映画は、その物語を基に製作され、新潟県や関連市が全面的に協力しました。

あらすじ

物語は、山古志村に暮らす石川家の兄妹、亮太と彩を中心に展開します。彼らは幼い頃に母親を失い、父親と祖父と共に生活していました。ある日、原っぱで捨て犬のマリを見つけ、愛情を込めて育てることになります。

マリは成長し、3匹の子犬を産み、兄妹は幸せな日々を送ります。しかし、10月23日の夕方、マグニチュード6.8の大地震が発生し、家が崩れ、彩と祖父はその下敷きになってしまいます。危機的な状況で、庭にいるマリが何度も家に入ってきて二人を励まし、助けようとしますが、力不足で助け切れません。また、救助に来た自衛隊員にマリが位置を示すことで、彼らは救出されますが、ヘリにはペットを載せられず、マリと子犬たちは取り残されてしまいます。

村民が避難してからは生活が厳しくなり、マリは子犬を守りながら、兄妹との思い出の原っぱを訪れては彼らの帰りを願い続けます。時が経つにつれ、余震が続く中で、彩はマリを心配し、兄の亮太と共に村に戻ろうとしますが、道中で彩は具合が悪くなり、父親に助けられます。

村に帰った二人が廃墟となった自宅を見つけたその先に、彼らはなんとか生き延びたマリと子犬たちを発見します。最後には、仮設住宅で新しい生活を楽しむ姿で物語が締めくくられ、感動的な結末を迎えます。

キャストとスタッフ

映画のキャストには、船越英一郎や松本明子、広田亮平らが名を連ねています。監督は猪股隆一で、音楽は久石譲が担当しました。また、特別な技術を駆使して、臨場感あふれる映像が撮影されています。非常に多くの人々の協力のもと、映画は完成しました。

マリの実際の出来事

映画で描かれるマリのストーリーは、実際のマリの物語に基づいています。彼女は地震発生から数日後に救出されましたが、飼い主との再会は容易ではありませんでした。マリは地震の影響で心的外傷後ストレス障害と見られる行動を示したとされています。しかし、飼い主の愛情によって困難を乗り越え、再び一緒に暮らすことができました。マリは15歳で亡くなるまで、家族に愛され続けました。

エピソードや影響

この映画は、感動的なストーリーを通じて、絆や再生の力、動物と人間の関係の重要性を伝える作品として多くの人々に記憶されています。主題歌を歌った平原綾香は、被災地の復興活動にも積極的に参加し、歌を通じて支援の意義を広めました。『マリと子犬の物語』は、映画作品としてだけでなく、絵本などの関連出版物も多く発表されるなど、メディア全体に影響を与え続けています。

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