マリア・アンナ・フォン・エスターライヒ (1738-1789)

マリア・アンナ・フォン・エスターライヒ

生い立ち

マリア・アンナ・フォン・エスターライヒ（1738年10月6日 - 1789年11月19日）は、神聖ローマ皇帝フランツ1世シュテファンと皇后マリア・テレジアとの次女として誕生しました。彼女は両親から男児を望まれ期待されて生まれましたが、期待に反して女児であったため、特に母親からの愛情を感じることはなかったのです。1741年に弟ヨーゼフが生まれて以降、彼女は皇位継承権から遠ざけられ、宮廷内部でも冴えない存在となりました。

宮廷での生活と才能

マリア・アンナは優れた芸術的才能を持ち、絵画や音楽、ダンスで高い評価を受けました。また、彼女の記憶力や集中力、勤勉さは弟ヨーゼフを上回るものでしたが、彼女の独自の才能は宮廷では疎まれました。1757年に重病を患って以降は、彼女の好きな運動も禁じられるなど、健康面での制約が課されることとなりました。しかし、父親フランツ・シュテファン帝だけが彼女の知性を理解し、親しい関係を築いていました。

家族との関係

ヨーゼフがパルマ公女マリア・イザベラと結婚した際、マリア・アンナは新たなライバルとして彼女を冷遇しました。この行動が、兄弟間に亀裂を生む要因となり、最終的に彼女は疎外される結果となりました。1765年に父親が亡くなると、彼女は再び孤立を深めることになります。1766年には母マリア・テレジアからプラハの施設長に任命されるも健康問題から赴任できず、その後の人生は苦悩に満ちたものでした。

クラーゲンフルトでの隠棲

1780年に母が亡くなると、彼女は弟ヨーゼフによって宮廷から追放され、クラーゲンフルトの城館に移ります。この転居は彼女にとって新たな出発であり、地元住民からの歓待を受け、彼女は心を開くようになっていきました。彼女はエリーザベト修道院での活動に身を捧げ、病院や修道院の支援に寄与しました。彼女の努力により、修道院には国からの援助が寄せられることとなり、地域社会から厚い信頼を寄せられるようになりました。

晩年と死

マリア・アンナは1789年の春から病床に伏し、同年の11月19日には亡くなりました。彼女の土葬の際、住民たちは彼女のために祈りを捧げ、その墓碑には彼女の生涯や業績を称える言葉が飾られました。マリア・アンナの遺産はエリーザベト修道院に寄付され、彼女の意志を残す重要な資源となりました。

フリーメイソンとの関わり

マリア・アンナは父の影響を受け、フリーメイソンに深い興味を持っていました。彼女はウィーンやクラーゲンフルトでフリーメイソンの活動を支援し、文化的交流を通じて自己の意義を見出しました。特に、遺跡の発掘や文化財の保護に対する彼女の支援は、彼女の遺産の重要な一部となりました。

文化的な影響

最後に、マリア・アンナは漫画『ラ・マキユーズ～ヴェルサイユの化粧師～』などで描かれ、その学識や人間性は今なお多くの人々に影響を与えています。

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