マリア・アンナ・フォン・プロイセン

マリア・アンナ・フォン・プロイセン（1836年3月17日 - 1918年7月12日）は、プロイセン王女として生まれ、ヘッセン＝カッセル家家長フリードリヒ・ヴィルヘルムの2度目の妻となりました。彼女の生涯は、王族としての華麗な側面と、複雑な結婚生活、そして信仰の変化に彩られています。

生い立ちと美貌

プロイセン王子カールとその妻マリーの末娘として生まれたマリア・アンナは、洗礼名をマリア・アンナ・フリーデリケと名付けられました。彼女は幼い頃からその美貌で知られ、プロイセン宮廷の注目の的でした。その美しさは、オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の目に留まり、皇后候補として名前が挙がるほどでした。

フランツ・ヨーゼフ1世との縁談

1852年頃、フランツ・ヨーゼフ1世はマリア・アンナに惹かれ、彼女を皇后に迎えたいと考えました。しかし、当時マリア・アンナはすでにフリードリヒ・ヴィルヘルムとの婚約が決まっており、また、プロイセンとしてもオーストリアとの縁組は政治的に難しい状況でした。マリア・アンナ自身はフランツ・ヨーゼフ1世との結婚を望んでいたとも伝えられていますが、結局、この縁談は実現せず、フランツ・ヨーゼフ1世はバイエルン王国のエリーザベトと結婚しました。

結婚生活

1853年5月26日、マリア・アンナはシャルロッテンブルク宮殿で、ヘッセン＝カッセル＝ルンペンハイム方伯フリードリヒ・ヴィルヘルムと結婚しました。しかし、16歳年上のフリードリヒ・ヴィルヘルムは、9年前に先妻であるロシア大公女アレクサンドラ・ニコラエヴナを亡くしており、彼女への深い愛情を忘れられずにいました。そのため、マリア・アンナとフリードリヒ・ヴィルヘルムの間には心の距離があり、友好的な関係ではあったものの、夫婦としての愛情は深かったとは言えません。

芸術と信仰

マリア・アンナは非常に知的な女性であり、ヨハネス・ブラームス、クララ・シューマン、アントン・ルビンシテインなど、著名な芸術家や音楽家を招いて宮廷サロンを主宰しました。彼女自身もテオドール・クラクに師事し、優れた才能と技量を持つピアニストでした。1901年にはローマ・カトリックに改宗しましたが、プロイセン王族のカトリックへの改宗は大きな政治問題となりました。

晩年と死

マリア・アンナは1918年6月12日に82歳で亡くなり、フルダ大聖堂に埋葬されました。彼女はフリードリヒ・ヴィルヘルムとの間に6人の子供をもうけました。

フリードリヒ・ヴィルヘルム・ニコラウス・カール（1854年 - 1888年） - ヘッセン＝カッセル家家長
エリーザベト・シャルロッテ・アレクサンドラ（1861年 - 1955年） - アンハルト公世子レオポルトと結婚
アレクサンダー・フリードリヒ・ヴィルヘルム・アルブレヒト（1863年 - 1945年） - ヘッセン＝カッセル家家長
フリードリヒ・カール・ルートヴィヒ・コンスタンティン（1868年 - 1940年） - フィンランド王、ヘッセン＝カッセル家家長
マリー・ポリクセネ（1872年 - 1882年）
ジビレ・マルガレーテ（1877年 - 1925年） - フリードリヒ・フォン・フィンケ男爵と結婚

マリア・アンナ・フォン・プロイセンは、その美貌と知性、そして波瀾万丈な人生を通して、歴史に名を残す女性として記憶されています。

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