マリモ

マリモ（毬藻）について

マリモは、学名を Aegagropila linnaei とし、淡水に生息する緑藻の一種です。この藻は独特の形態を持ち、一般的には球状の集合体として知られていますが、実際の個体は細い糸状の繊維から成り立っています。マリモと呼ばれる球状体はこれら糸状体の集まりによって形成されており、その形状から観賞用として非常に人気があります。特に日本の阿寒湖に生育するマリモは、その美しさから特別天然記念物に指定されています。

概要

マリモは、単独の個体ではなく、糸状体の集合体として存在しています。見た目は柔らかそうですが、実際には硬く、触れるとチクチクとした感触がします。北海道のアイヌ民族もその存在は知っていましたが、食料にはならず、自然に生息していたため珍しいものではありませんでした。1753年にスウェーデンの学者カール・フォン・リンネが初めて学名を採取しましたが、日本では1897年に北海道大学の川上瀧彌が阿寒湖で見つけ、その形から「マリモ」という名が付けられました。

日本では、阿寒湖のほかにも富山県のタテヤママリモや、本栖湖に生息するモトスマリモなどが確認されています。

生息地域

マリモは日本国内では北海道や、青森、富山、山梨、滋賀などの湖沼に点在しています。特に阿寒湖では、北部のキネタンベ湾やチュウルイ湾に群生しています。チュウルイ島には専用の展示観察センターも設けられており、訪れる観光客に人気です。しかし、かつてあった群生地が環境破壊によって消失し、復活のための人工栽培が行われています。

あらすじ

阿寒湖のマリモは、1952年に特別天然記念物に指定され、その独特の形状と生態から保護の対象となっています。しかし、乱獲や環境の変化により個体数は減少しており、環境省レッドリストでは絶滅危惧種に分類されています。特に気になるのは、太陽光の届かない中心部が枯れることで、マリモが崩れてしまうことです。

分子生物学と分類

かつてはシオグサ属に分類されていましたが、1990年代からの分子生物学的な研究の結果、再びマリモ属に戻されました。また、近縁種と考えられていた種も同じ種であることが確認されました。このような研究から、マリモの進化や変種に関する新たな知見が得られています。

販売と保護活動

阿寒湖のマリモは観賞用として長い間人気ですが、一方で乱獲や不法採取が問題となっています。これを受けて保護活動が強化され、マリモ愛護会などが設立され、地域住民と協力しながら保護に取り組んでいます。また、販売されるマリモの多くは、採取された糸状体を丸めたものであり、実際の養殖とは異なります。

結論

マリモは、そのユニークな姿と貴重な生態系の一部として、私たちに多くの魅力を提供します。環境保全の観点からも、マリモの保護活動は今後ますます重要になるでしょう。私たち一人一人が彼らを守るための行動を考える必要があります。

もう一度検索