マリリオン

マリリオン：ネオ・プログレッシブ・ロックの雄、その軌跡

1979年、イングランドで結成されたマリリオンは、プログレッシブ・ロック・シーンに多大な影響を与えたバンドとして知られています。70年代プログレッシブ・ロックの系譜を受け継ぎ、80年代に台頭した「ネオ・プログレッシブ・ロック」を代表する存在として、現在もなお精力的に活動を続けています。本記事では、マリリオンの歩みを、初期から現在に至るまで詳細に探ります。

フィッシュ時代の輝きと転換点

バンドは当初「シルマリリオン」という名称で活動を始めました。J・R・R・トールキンの作品にインスパイアされたその名からも、彼らが壮大な音楽世界を目指していたことが伺えます。1981年、バンド名を「マリリオン」に改名。初期のメンバーには、後にソロ活動でも成功を収めることになるフィッシュ（ボーカル）、スティーヴ・ロザリー（ギター）、ピート・トレワヴァス（ベース）、マーク・ケリー（キーボード）、ミック・ポインター（ドラムス）らが名を連ねました。

1982年のデビュー・シングル「マーケット・スクエア・ヒーローズ」に続く、1983年のファースト・アルバム『独り芝居の道化師』は、高い評価を獲得します。神秘的なサウンド、雰囲気のあるアルバムジャケット、そしてストーリー性のあるコンセプト・アルバムは、当時の音楽シーンで異彩を放ちました。彼らの音楽性は「ネオ・プログレッシブ・ロック」や「ポンプ・ロック」と呼ばれ、イギリスやヨーロッパを中心に人気を博します。

特に1985年のアルバム『過ち色の記憶』は全英アルバムチャートで1位を獲得する大ヒットを記録。「追憶のケイリー」「ラヴェンダー」といったシングルも高い人気を誇りました。しかし、一方で「ジェネシスの模倣」との批判も向けられることになります。その後も『旅路の果て』が全英チャート2位にランクインするなど成功を収めますが、1988年にフィッシュが脱退という大きな転換期を迎えます。

スティーヴ・ホガース加入と新たな地平

1989年、フィッシュの後任としてスティーヴ・ホガース（ボーカル）が加入します。ホガース加入後、マリリオンは「ジェネシス・コピー」という批判を払拭するような、独自の音楽性を確立していきます。特に『ブレイヴ』は、ホガースが実際に起きた事件に着想を得て制作されたコンセプト・アルバムとして高い評価を受け、その音楽的成熟度を示しました。

しかし、90年代後半には音楽シーンの変化による逆風を受け、商業的には苦戦を強いられます。メジャーレーベルとの契約を失った時期もありましたが、自主レーベル設立やインディーズからのリリースを通して活動を継続。ベースのピート・トレワヴァスは、プログレッシブ・ロック・バンド「トランスアトランティック」でも活動するなど、個々のメンバーも活躍の場を広げました。

2000年代以降は、インターネットを活用した活動やプロモーションを積極的に展開。2004年には17年ぶりのトップ10シングルとなる「You're Gone」をリリースし、再び注目を集めます。2007年には、フィッシュが19年ぶりにマリリオンのステージに立つというサプライズ演出も実現しました。

現在も続く進化

現在も、スティーヴ・ホガース、スティーヴ・ロザリー、ピート・トレワヴァス、マーク・ケリー、イアン・モズレイという強力なメンバー陣で活動を続けるマリリオン。彼らは、時代を超えて進化を続け、プログレッシブ・ロック・シーンを牽引する存在であり続けています。初期のフィッシュ時代の楽曲から、ホガース加入後の作品まで、幅広い音楽性と高い演奏力で聴く者を魅了し続けている彼らの今後の活動からも目が離せません。

メンバー

現メンバー

スティーヴ・ホガース (Steve Hogarth) - ボーカル (1989年 - )
スティーヴ・ロザリー (Steve Rothery) - ギター (1979年 - )
ピート・トレワヴァス (Pete Trewavas) - ベース (1982年 - )
マーク・ケリー (Mark Kelly) - キーボード (1981年 - )
イアン・モズレイ (Ian Mosley) - ドラムス (1984年 - )

旧メンバー

フィッシュ (Fish) - ボーカル (1981年 - 1988年)
* その他多数

ディスコグラフィ

（アルバムリストは省略）

日本公演

1985年、1994年、2017年、2018年と、日本でも数多くの公演を行っています。

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