マリー・キュリー賞

マリー・キュリー賞

賞の概要

マリー・キュリー賞は、科学技術振興機構（JST）と駐日ポーランド共和国大使館が協力し、日本の女性研究者を対象として創設された顕彰制度です。科学分野で目覚ましい功績を挙げ、将来の活躍が期待される女性研究者を称え、その研究活動を奨励することを目的としています。賞の名称は、放射能の研究でノーベル賞を二度受賞したポーランド出身の偉大な科学者、マリア・スクウォドフスカ＝キュリーにちなんで名付けられています。この冠名は、科学の発展に貢献した女性研究者の先駆者としての功績を讃えるとともに、次世代の女性研究者たちに希望を与える象徴となっています。

正式名称と通称

本賞の正式名称は「マリア・スクウォドフスカ＝キュリー賞」ですが、一般的には広く知られている「マリー・キュリー賞」という通称が用いられます。また、その設立趣旨から「羽ばたく女性研究者賞」という別称でも呼ばれており、これは日本の科学分野で女性がさらに活躍の場を広げていくことへの強い期待が込められています。

選考体制

受賞者の選考は、科学技術分野の多様な視点を反映するため、国内外で活躍する有識者で構成される選考委員会によって厳正に行われます。委員は男性4名、女性5名の計9名で構成されており、女性委員が過半数を占める体制が取られています。これは、女性研究者の貢献を適切に評価し、多様なバックグラウンドを持つ研究者が公平に評価されることを目指しているためです。委員長には、免疫学の分野で世界的に著名な研究者であり、イェール大学教授を務める岩崎明子氏が就任しており、選考プロセス全体の公正性と質の高さを保証しています。

賞金

マリー・キュリー賞の運営は、日本電子株式会社からの協賛によって支えられています。これにより、受賞者には研究活動のさらなる促進を目的とした賞金が贈呈されます。各賞の賞金額は以下の通りです。

最優秀賞（1名）: 50万円
奨励賞（2名）: 各25万円
特別賞（若干名）: 10万円

これらの賞金は、受賞者が自身の研究を継続・発展させていく上で貴重な支援となります。

受賞者構成

本賞では、毎年以下の構成で受賞者を選出しています。

最優秀賞: その年度において最も顕著な研究業績を挙げたと認められる研究者1名。
奨励賞: 将来性のある優れた研究成果を挙げ、今後の活躍が大いに期待される研究者2名。
特別賞: 特定の分野での功績や独創的な研究活動など、顕著な貢献が認められる若干名の研究者。

多様な形で貢献する女性研究者を広く顕彰する機会が設けられています。

過去の主な受賞者

創設以来、多くの優れた女性研究者が本賞を受賞しています。例えば、第一回（2021年度）の最優秀賞は、京都大学数理解析研究所の山下真由子氏が受賞しました。第二回（2022年度）の最優秀賞は、ハーバード大学の市川早紀氏に贈られています。また、奨励賞や特別賞においても、理化学研究所や物質・材料研究機構といった国内の主要研究機関、あるいはエモリー大学や米エール大学、ノルウェー生命科学大学、ハーバード大学といった海外の著名な研究機関に所属する若手・中堅の研究者が多数選出されており、国内外で活躍する日本の女性研究者を幅広く支援しています。

賞の意義

マリー・キュリー賞は、女性研究者が科学技術分野でその能力を最大限に発揮し、研究キャリアを継続・発展させていくための重要な機会を提供します。優れた研究業績を公に認め、称賛することで、他の女性研究者への励みとなり、次世代の研究者を育成するためのロールモデルを示す役割も果たします。また、科学技術振興機構とポーランド共和国大使館の共同創設であることから、科学を通じた国際交流と連携を促進する意義も持ち合わせています。本賞は、日本の科学技術力の向上とジェンダー平等の推進に貢献していくことが期待されています。

関連項目

科学技術振興機構 (JST)

外部リンク

羽ばたく女性研究者賞（マリア・スクウォドフスカ＝キュリー賞）公式サイト

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