マリ軍事クーデター (2020年)

2020年マリ軍事クーデター

2020年8月18日、マリ共和国の首都バマコで発生した軍事クーデターは、同国の政治情勢に大きな影響を与えました。このクーデターは、長年にわたる政治腐敗、経済失政、そして治安悪化に対する国民の不満が爆発した結果として起こりました。

クーデターの背景

2013年、イブラヒム・ブバカール・ケイタが大統領に選出され、マリは一応の民政復帰を果たしました。しかし、2018年の再選後、ケイタ政権に対する不満は高まりました。政権の腐敗、経済運営の失敗、そして選挙不正の疑いが、国民の不信感を招きました。

また、マリ国軍内部でも、待遇やイスラム過激派との紛争に対する不満が鬱積していました。特に、政府の紛争解決能力に対する不信感が、軍内部の不満を増幅させました。

2020年3月には議会総選挙が行われましたが、選挙直前に野党指導者が拉致される事件が発生。さらに、COVID-19の感染拡大が選挙の実施を困難にしました。選挙結果もまた、与党に有利なように修正されたため、国民の怒りを買い、抗議デモが頻発しました。

主要野党と市民団体は「6月5日運動-愛国勢力の団結」を結成し、ケイタ大統領の退陣を求めました。大規模なデモが繰り返され、治安部隊との衝突も発生し、多数の死傷者が出ました。

[西アフリカ諸国経済共同体]が仲介に乗り出しましたが、調停案は野党に拒否され、事態は膠着状態に陥りました。ECOWASは統一政府の樹立を促し、制裁をほのめかしましたが、野党はケイタ大統領の辞任を要求し続けました。

クーデターの推移

2020年8月18日、首都バマコ近郊のカティにある軍基地を一部兵士が占拠し、クーデターが勃発しました。反乱軍は大統領公邸を襲撃し、ケイタ大統領とブブ・シセ首相を拘束しました。反乱軍は、ケイタ大統領の辞任を求める群衆から支持を受けました。

翌8月19日、ケイタ大統領は国営テレビで辞任を発表し、議会を解散しました。その後、新たに設立された国民救済委員会が権力を掌握し、民政移管を約束しました。アシミ・ゴイタ大佐が国民救済委員会の委員長に就任し、クーデターの首謀者であることを明らかにしました。

ECOWASは1年以内の民政移管を求めましたが、軍部は元軍人のバ・ヌダウ元国防大臣を暫定大統領に指名し、ゴイタ大佐自身は暫定副大統領に就任しました。また、暫定政権の期間を18カ月と定め、ECOWASの要求よりも長く設定しました。

国外の反応

国際連合、欧州連合、アフリカ連合などの国際機関は、クーデターを非難し、ケイタ大統領らの解放と憲法秩序の回復を求めました。

ECOWASはマリとの国境を閉鎖し、資金の流れを止め、マリをECOWASの全ての意思決定機関から追放しました。

フランスはクーデターを非難し、兵士たちに兵舎へ戻るよう要求しました。ロシアもクーデターに懸念を表明しました。日本もクーデターを非難する声明を発表しました。

マリの軍事クーデターは、西アフリカ地域の政治的な不安定さを浮き彫りにしました。今後のマリの政治情勢の安定化が望まれます。

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