マルク・カルプレス

マルク・マリ・ロベール・カルプレス（Mark Marie Robert Karpelès）は、1985年6月1日生まれ、フランス出身の実業家です。彼は、かつて世界最大規模を誇ったビットコイン取引所、マウントゴックス（Mt. Gox）のCEOとして知られています。カルプレスは、フランスとイスラエルの二重国籍を保持しており、2009年に日本へ移住しました。

生い立ちと日本への移住

カルプレスは、フランスのディジョン市郊外にあるシュノーヴで生まれ、ディジョンで育ちました。母親は地質学者であり、彼はシャティオン＝シュル＝マルヌとドルマンのコレージュ（日本の中学校・高校に相当）で教育を受けました。その後、パリのリセ（高校）に進学し、2003年に卒業しています。アニメファンであったことがきっかけで、2007年に1ヶ月ほど日本に滞在し、その後、2009年に日本へ移住しました。

Webエンジニアとしてのキャリア

カルプレスは、Webエンジニアとしてのキャリアも持っています。LinkedInの情報によると、2003年から2005年の間、Linux Cyberjoueurs社にてソフトウェア開発者とネットワーク管理者として働いていた経歴があります。これらの経験が、後のマウントゴックスでの活躍に繋がったと考えられます。

マウントゴックスとビットコイン消失事件

2009年に来日後、カルプレスはTibanne社を設立しました。その後、2011年にマウントゴックスを買収し、経営権を掌握しました。2013年4月には、マウントゴックスは全世界のビットコイン取引量の約7割を取り扱う、世界最大の取引所へと成長しました。しかし、同年11月には、マウントゴックスによるビットコインの払い戻し遅延が報じられるようになり、2014年2月には大規模なビットコイン消失事件が発生しました。この事件により、マウントゴックスはビットコインの払い戻しを停止し、最終的に経営破綻、民事再生法の適用を申請するに至りました。

当初、カルプレスは消失事件について「ビットコインが盗まれた可能性が高い」と主張し、自身の関与を否定していました。しかし、2015年8月1日、彼は自身の口座データを改竄し残高を水増しした疑いで、警視庁に私電磁的記録不正作出・同供用容疑で逮捕されました。さらに、同月21日には、顧客からの預金を着服したとして業務上横領の容疑で再逮捕、起訴されることとなりました。2016年7月14日には東京拘置所から保釈されました。

裁判と判決

2017年7月11日、東京地裁で初公判が開かれ、カルプレス側は無罪を主張しました。2019年3月、東京地方裁判所は、私電磁的記録不正作出・同供用罪で懲役2年6月、執行猶予4年の有罪判決を下しましたが、業務上横領については無罪としました。検察側は控訴せず、業務上横領については無罪が確定しました。2020年6月11日には東京高裁がカルプレスの控訴を棄却し、2021年1月27日に最高裁がカルプレスの上告を棄却したため、懲役2年6月、執行猶予4年の判決が確定しました。カルプレスはこの判決について、「全面的に支持はしないが、納得している」とコメントしています。彼は現在も日本に在住しています。

外部リンク

マルク・カルプレス (@MagicalTux) - X（旧Twitter）
Mark Karpelès - YouTubeチャンネル

カルプレスは、一時は世界をリードするビットコイン取引所のCEOとして名を馳せましたが、その後の事件により、大きく人生を翻弄されることとなりました。彼の事例は、仮想通貨取引所の運営におけるリスク管理の重要性を浮き彫りにする出来事として、今後も語り継がれるでしょう。

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