マルダーII

マルダーII（Marder II）

マルダーIIは、第二次世界大戦中にドイツが開発した対戦車自走砲で、 II号戦車を基にしたデザインが特徴的です。搭載される火砲は7.62cmまたは7.5cmの対戦車砲であり、この自走砲は対戦車兵器としての効果を高めるために設計されました。マルダーという名称は「テン（貂）」を意味し、制式番号はSd.Kfz.131および132とされています。

概要

1941年後期のバルバロッサ作戦において、ドイツ国防軍はソ連の新型戦車、特にT-34やKV-1の登場によって、より効果的な対戦車兵器の必要性を痛感しました。そのため、古い軽戦車や鹵獲した戦車の改造、または旧型戦車の生産体制を対戦車自走砲の製造へと切り替えることが決定されました。これに基づいて開発されたのがマルダーシリーズであり、その中でもマルダーIIはII号戦車を改造したものとされています。

マルダーIIには2つの主要なバージョンがあります。最初に登場したのは、7.62cm Pak36(r)が搭載されたモデルで、アルケット社が製造を担当しました。この型はII号戦車D/E型や火焰放射戦車型からの改造車両及び新造車両で、合計で201輌生産されました。搭載されたPak36(r)砲は、ソ連のF-22野砲を改造したもので、長い薬莢を使用することで有効な対戦車火力を持っていました。

次に開発されたのが7.5cm PaK40/2を搭載したバージョンで、これはII号戦車F型を基にしており、より低い車高を実現しました。このモデルは1942年6月に試作車が完成し、翌月から生産が始まりました。全体で576輌の新造車両、75輌の改造車両が製造されました。一部の写真にはII号戦車から改造された5cm Pak38を搭載したマルダーIIに似た自走砲も見られます。

戦績

マルダーIIはその火力の高さから連合軍の戦車に対抗できる能力を持っていました。しかし、オープントップ形式であるため、乗員の保護が不十分で、生存性が低いという弱点も抱えていました。戦場での砲撃や小火器の攻撃に対して脆弱であり、受動的な戦闘をするための機動対戦車砲として位置付けられていました。

1943年6月にはマルダーIIの生産が停滞し、同じくII号戦車を基にした自走榴弾砲のヴェスペの生産が優先されることになりました。それ以降のマルダーIIの製造は、後送されたII号戦車を改造する形で継続され、最終的には生産を終了しました。戦車猟兵大隊に配備されたマルダーIIは、後継のマルダーIIIと共に戦闘に参加し、終戦までの戦いを続けました。

結論

以上のように、マルダーIIはその優れた火力で戦場における重要な役割を果たしましたが、運用上の制約も伴っていました。設計当初から戦闘の変化に対応するため、迅速かつ柔軟な運用が可能だった点は評価されますが、耐久性の低さはその運用上の問題として残りました。このように、マルダーIIは様々な面で活躍し、時代の試練を受けた自走砲の一つです。

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