マルティニーク島侵攻 (1759年)

マルティニーク島侵攻：七年戦争におけるイギリスの挑戦

1759年1月、七年戦争の最中、イギリス軍はペレグリン・ホプソン将軍の指揮のもと、フランス領マルティニーク島の占領を目指し、水陸両面からの作戦を展開しました。しかし、この試みは当初の目的を達成できず、別の島への攻撃へと方針転換を余儀なくされました。

イギリス軍の進攻と挫折

イギリス艦隊はマルティニーク島に到着後、まずフォール＝ロワイヤルの要塞に対して砲撃を開始しました。しかし、要塞が高台に位置していたため、砲撃の効果は限定的でした。加えて、付近には上陸に適した場所も存在せず、イギリス軍は作戦の開始から困難に直面しました。

当時のマルティニーク総督、フランソワ5世・ド・ボアルネは、数か月間補給を受けられておらず、要塞は短期間の包囲で降伏する可能性がありました。しかし、イギリス軍の指揮官たちはこの状況を知らず、包囲戦を選択しませんでした。彼らは、当時のマルティニークの中心地であり、貿易港として栄えていたサン・ピエールへの攻撃を計画しました。

1月19日、サン・ピエールに対する砲撃が試みられましたが、これもまた失敗に終わりました。この結果を受け、イギリス軍はマルティニーク島からの撤退を決定し、代わりにフランスの私掠船の拠点となっていたグアドループ島への攻撃へと目標を切り替えました。

グアドループ島攻略とマルティニークのその後

イギリス軍はグアドループ島への攻撃に注力し、同年5月には同島を降伏させることに成功しました。一方、マルティニーク島は1762年に再びイギリス軍の侵攻を受け、今度は占領されることとなりました。この占領は、七年戦争におけるイギリスの勝利に貢献する一因となりました。

まとめ

マルティニーク島侵攻は、イギリス軍にとって当初の目的を達成できなかったものの、その後のグアドループ島攻略、そしてマルティニーク島占領へと繋がる重要な転換点となりました。この戦いは、七年戦争におけるイギリスとフランスの植民地を巡る争いの一端を示すものであり、当時の戦略、戦術、そして両国の国力を反映した出来事として、歴史に刻まれています。

参考文献

Anderson, Fred. Crucible of War, Faber and Faber, 2000
Dull, Jonathan The French Navy and the Seven Years' War
McLynn, Frank. 1759: The Year Britain Became Master of the World. Pimlico, 2005
Simms, Brendan. Three Victories and a Defeat: The Rise and Fall of the First British Empire. Penguin Books, 2008

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