マルティン・セセー

マルティン・セセー・イ・ラカスタ

マルティン・セセー・イ・ラカスタ（Martín Sessé y Lacasta、1751年 – 1808年10月4日）は、18世紀のスペインの著名な植物学者であり、新大陸の植物の研究に尽力した人物です。彼は、ヌエバ・エスパーニャ（現在はメキシコ）の植物の研究と分類を行い、その業績は今日の植物学に多大な影響を与えています。

生涯と業績

セセーは、スペインのバラグアスで誕生しました。サラゴサで医学を学び、1775年にはマドリードへ移住。その後、1779年には軍医となり、キューバを経てヌエバ・エスパーニャへの任命を受けます。1785年、彼はヌエバ・エスパーニャの王立植物園の委員に就任し、メキシコ大学に植物園が設立されると、植物学への専念を決意し、医学の道から退きました。

1786年には、当時ヨーロッパであまり知られていなかった新大陸の植物を調査する大型探検旅行を提案し、スペイン王カルロス3世からの承認を得ました。1787年より探検の準備を開始し、サントドミンゴ、プエルトリコ、キューバといった地域を訪れました。特にキューバでは、広がり始めた寄生病の治療にも貢献しています。

ヌエバ・エスパーニャに戻った後、セセーは王立植物園の園長であるカシミロ・ゴメス・オルテガと合流しました。探検隊には、ヌエバ・エスパーニャ初の植物学教授となるビセンテ・セルバンテスや、自然史博物館の前身を構成したホセ・ロンヒノス・マルティネス、薬学者、植物学者のフアン・ディエゴ・デ・カスティリョ、ホセ・マルドナード、メキシコ出身のホセ・マリアノ・モシニョー、画家のフアン・セルダ、メキシコ人画家アタナシオ・エチェベリアなどが加わりました。

探検隊はカナダの太平洋岸、アンティル諸島、ユカタン半島、ニカラグア、そしてサンフランシスコを調査し、セセーとモシニョーは主にメキシコ中部の植物を探査しました。彼らは標本を収集し、各地に同行した画家が植物の図を描きました。探検の成果の一部は、カスティリョが著した『アカプリコの植物』（Plantas descritas en el viaje de Acapulco）として纏められ、1793年に出版されました。セセーらの探検は1803年に終わりましたが、その著作の出版は1880年代まで延びました。

探検を終えたセセーは、収集した標本を携えてスペインに戻り、メキシコの植物に関する著作を進めました。しかし、彼は1808年にその完成を見ることなく亡くなってしまいました。セセーが集めた約7100の標本は、マドリードの王立植物園に収蔵され、200の新しい植物の属と3500の新種を含んでいます。また、モシニョーが持ち帰った植物画は1820年に行方不明となったものの、1980年に再発見され、編集されて出版されました。

セセーの業績により、ナス科のセッセア属（Sessea）など、彼の名前が今でも残っています。彼の研究は、新大陸の植物に対する理解を深め、現在の植物学における基礎を築いたと言えるでしょう。

代表的な著書

セセーの著書には、以下のものがあります：

• - Sessé, M. y J.M. Mociño, "Flora Mexicana", in La Naturaleza (1891年、1894年再版)
• - Plantae Novae Hispaniae (1889年)

参考文献

• - "Botánica," Enciclopedia de México, v. 2. Mexico City: 1987.

外部リンク

• - José Dionisio Larreátegui, Description Botanique du Chiranthodendron (1805)
• - Expedición al Virreinato de Nueva España
• - Martín Sessé y Lacasta at the Gran Enciclopedia Aragonesa
• - Sessé y Lacasta, Martín de & Mociño y Losada, José Mariano. Flora Mexicana, 1894 at the Biblioteca Digital del Real Jardín Botanico CSIC
• - Sessé y Lacasta, Martín de & Mociño y Losada, José Mariano. Plantae Novae Hispaniae, 1893 at the Biblioteca Digital del Real Jardín Botanico CSIC

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