マルティン・ビスカラ

マルティン・ビスカラ：ペルーの元大統領、その経歴と政治的足跡

マルティン・アルベルト・ビスカラ・コルネホは、1963年3月22日生まれのペルーの政治家です。彼は、第67代ペルー大統領（2018年3月23日 - 2020年11月9日）を務め、そのほかにもモケグア県知事（2011年 - 2014年）、運輸通信相（2016年 - 2017年）、駐カナダ大使（2017年 - 2018年）といった要職を歴任しました。

生い立ちと初期のキャリア

ビスカラは、アメリカ革命人民同盟 (APRA) 党員の父と小学校教諭の母のもと、リマで生まれました。モケグアで教育を受けた後、リマの国立工科大学を卒業し、経営大学院 (ESAN) で経営学の学位を取得しました。

地元のモケグアで政治活動を始め、2006年の知事選挙にAPRAから立候補しましたが、落選。2008年には、鉱山会社からの補償金に関する運動を率い、閣僚との交渉を成功させました。2011年から2014年末までモケグア県知事を務め、その間、県の社会的指標は向上し、汚職問題も改善しました。

副大統領から大統領へ

2016年の総選挙では、中道右派政党「変革のためのペルー国民」のペドロ・パブロ・クチンスキ陣営の第一副大統領候補として立候補し、当選しました。クチンスキ大統領の辞任に伴い、2018年3月23日に大統領に就任しました。

大統領就任後、ビスカラは汚職撲滅を公約し、政治改革を推進しました。2018年4月には気候変動法に署名し、環境保護への取り組みを強化。同年7月には、政治献金の禁止や議員の再選禁止などを問う国民投票を呼びかけ、その多くが承認されました。

議会との対立と罷免

しかし、ビスカラの政治改革は、議会との対立を招きました。2019年9月、議会はビスカラが提出した議会解散法案を否決。これを受けてビスカラは議会を解散し、新たな首相を任命しました。

2020年9月には、議会がビスカラに対する弾劾手続きを開始。弾劾決議案は否決されたものの、その後、ビスカラがモケグア州知事時代に賄賂を受け取ったとする疑惑が浮上しました。ビスカラ自身は疑惑を否定しましたが、2020年11月9日、議会は罷免決議を可決し、ビスカラは大統領を失職しました。

政治姿勢と評価

ビスカラは政治的に中道とされ、社会問題への関心と企業との関係を重視する姿勢を示しました。支持者からは、複雑な状況をまとめる力を持つ「橋渡し役」として評価されています。

大統領としての在任期間は短かったものの、汚職撲滅や環境保護への取り組みは一定の評価を得ています。しかし、議会との対立や罷免という結果は、ペルー政治の不安定さを浮き彫りにしました。

ビスカラの退任後、ペルーは混乱期を迎えましたが、彼の政治的遺産は、今後のペルー政治に影響を与え続けるでしょう。

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