マルバス

マルバス（Marbas）

マルバスは、悪魔学において重要な位置を占める悪魔の一柱です。バルバス（Barbas）という別名でも知られています。

概要

『ゴエティア』によれば、マルバスは地獄の序列において5番目に位置する大総裁であり、強大な力を持つとされています。彼は36の悪魔の軍団を統率するとされ、その影響力の大きさを示しています。

また、『大奥義書』においては、マルバスはルキフゲ・ロフォカレの支配下にあると記述されています。このことから、マルバスはさらに上位の悪魔の指揮下にあると考えられます。

レジナルド・スコットの著書『妖術の開示』(1655年版)には、パイモン、バティン、バルマを呼び出す方法が記されていますが、その中でパイモンがマルバスの下位に位置する存在であると説明されています。これは、マルバスの地位の高さを示す一例と言えるでしょう。

特徴

マルバスは、召喚される際には、まず強壮なライオンの姿で現れるとされています。しかし、召喚者が命じれば、人間の姿を取ることも可能です。彼は隠された事物や秘密に関する質問に対し、真摯に答えてくれると伝えられています。そのため、知識を求める者にとっては頼りになる存在かもしれません。

また、マルバスは疫病をもたらす力と、それを治癒する力の両方を持ち合わせているとされています。これは、彼が生命と死を操る力を持つことを示唆しています。さらに、工芸に関する優れた知識を有しているとも言われており、芸術や技術に関心のある者にとっても魅力的な存在でしょう。

マルバスは、人の姿を変化させる能力も持つとされています。これは、彼が変身術に長けていることを意味し、幻惑や欺瞞といった側面も持ち合わせている可能性を示唆しています。

異説

シェイクスピアの作品『ウィンザーの陽気な女房たち』に登場するバルバスン（Barbason）は、マルバスと同一視されることがあります。これは、マルバスの多様な側面を表す一例と言えるでしょう。

参考文献

コラン・ド・プランシー著、床鍋剛彦訳『地獄の辞典』講談社、1990年
S.L. MacGregor Mathers and Aleister Crowley, The Lesser Key of Solomon(1904)
Arthur Edward Waite, The Book of Ceremonial Magic(1913)
Reginald Scot, Discoverie of Witchcraft(1655年版)
Johann Weyer, Pseudomonarchia Daemonum
Goetia

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