マルベラの海戦

マルベラの海戦：スペイン継承戦争における地中海の激戦

マルベラの海戦は、1705年3月21日にスペイン継承戦争の最中、スペインのマルベーリャ沖で繰り広げられました。イングランド・ポルトガル・オランダの連合艦隊と、フランス・スペインの連合艦隊が衝突し、地中海の制海権を巡る激しい戦いとなりました。

戦いの背景：ジブラルタルを巡る攻防

1704年8月、イングランド軍は地中海の要衝であるジブラルタルを占領しました。これにより、イングランド軍は地中海における拠点を確保し、フランス海軍を牽制する態勢を整えました。しかし、フランス・スペイン連合軍はジブラルタル奪還を目指し、同年9月から包囲を開始します。

同年8月24日には、マラガの海戦が発生。フランス・スペイン連合艦隊によるジブラルタル進出を連合国軍は阻止しました。しかし、11月9日、イングランド海軍のジョン・リーク提督率いる艦隊が、包囲を支援するために派遣されたフランス艦隊を撃破し、連合国軍の勝利に終わります。これにより、フランス・スペイン連合軍はジブラルタル奪還を断念。イングランド艦隊とジブラルタル総督ゲオルク・フォン・ヘッセン＝ダルムシュタットらは、冬を越すためにポルトガルのリスボンへ一時退避しました。

マルベラの海戦の勃発

1705年1月、スペイン王フェリペ5世は、フランスの将軍テッセ伯ルネ・ド・フルーレにジブラルタル奪回を命じ、再びジブラルタルの包囲を開始しました。さらに、北フランスのブレストからジャン＝ベルナール・ド・ポアンタス提督率いる18隻の艦隊が2月25日にジブラルタルに到着し、包囲網に加わりました。

これに対し、ジョン・リーク提督は、フランス艦隊の支援を阻止すべく、イングランド艦隊23隻、ポルトガル艦隊8隻、オランダ艦隊4隻からなる連合艦隊35隻を率いて3月16日にリスボンを出撃。3月21日にジブラルタルに到着し、撤退するフランス艦隊を追撃しました。この海戦で、連合艦隊はフランス艦隊から3隻を拿捕、2隻を焼き討ちにするという戦果を挙げました。残りのフランス艦隊もマラガに座礁したり、トゥーロンに逃れたりして、ジブラルタルから駆逐されました。

戦いの影響とその後

フランス艦隊が撤退したため、テッセ伯は4月にジブラルタルの包囲を断念し、撤退しました。ポアンタス提督は戦後、海軍から引退しました。一方、リーク提督はこの海戦での功績が高く評価され、その後も地中海で活躍を続けました。

マルベラの海戦は、スペイン継承戦争における地中海の制海権を巡る重要な戦いの一つであり、ジブラルタルの帰趨に大きな影響を与えました。この海戦での勝利により、イングランドは地中海における影響力を確立し、スペイン継承戦争における優位を築く上で重要な役割を果たしました。

参考文献

小林幸雄『図説イングランド海軍の歴史』原書房、2007年。
友清理士『スペイン継承戦争 マールバラ公戦記とイギリス・ハノーヴァー朝誕生史』彩流社、2007年。

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