マル臨計画

マル臨計画について

マル臨計画（まるりんけいかく）は、日本海軍の重要な戦備計画であり、正式名称は「情勢ニ応ズル軍備欠陥補充」です。この計画は1940年にヨーロッパでの情勢が変動したことを受け、対米開戦に備えるための一環として策定されました。計画の名称は、漢字の「臨」をマルで囲んだもので、通称として広まっています。

計画の背景

1940年、世界の政治情勢が緊迫する中、日本海軍は新たな艦艇の建造を急ぐ必要がありました。特に1938年に発表された「支那事変に関連する第三次戦備促進」に基づき、1940年8月には、「急迫せる世界情勢に即応する戦備促進要領」として関係機関で確認しました。この時、艦船の建造計画は「情勢ニ応ズル軍備欠陥補充」と名づけられ、その実行が進められたのです。

計画の内訳

マル臨計画では、55隻の艦艇が建造される予定でした。最終的には52隻が完成しました。その内訳は以下の通りです。

• - 潜水艦：18隻
• - 駆潜艇：12隻
• - 魚雷艇：6隻
• - 航空揮発油運搬艦：6隻
• - 掃海特務艇：6隻
• - 敷設特務艇：4隻
• - 運送艦：3隻

これにより、合計で55隻、約5万7765トンの艦艇が計画されました。また、計画には練習航空隊の整備も含まれています。

予算と承認

この計画に関連する艦艇の建造予算は、総額で2億1167万3千円に上ります。各艦艇の予算は次のように分けられました。魚雷艇の建造予算は昭和14年度の臨時軍事費として、第74帝国議会にて承認されており、駆潜艇や潜水艦、航空揮発油運搬艦の予算は昭和16年度の艦艇製造費として同じく第76帝国議会で承認されています。また、運送艦、掃海特務艦、敷設特務艦の予算も同年第76帝国議会から臨時軍事費として承認を得ました。

計画で建造された艦艇の概要

魚雷艇

• - 数：6隻
• - 移動排水量：120トン
• - 価格：58万0千円×6

- 第241号艦から第246号艦までの6隻

駆潜艇

• - 数：12隻
• - 移動排水量：5280トン
• - 価格：231万5千円×12

- 第二八号型（第221号艦～第232号艦）

潜水艦

• - 中型：9隻（呂35型）
• - 小型：9隻（呂100型）

給油艦

• - 中型：2隻（足摺型）
• - 小型：4隻（洲埼型）※建造中止

給糧艦

• - 数：3隻（杵埼型）

掃海特務艇・敷設特務艇

• - 掃海特務艇：6隻
• - 敷設特務艇：4隻

結論

マル臨計画は、日本海軍の艦船建造に関する重要な施策として位置づけられました。提案された艦艇は、当時の日本の軍事戦略に大きな影響を与えるものでした。戦争の激化に伴い、これらの艦艇は日本海軍の戦力維持に寄与し、戦局において重要な役割を果たしました。

もう一度検索