マロー・オブライエン (初代トモンド侯爵)

マロー・オブライエン：初代トモンド侯爵の生涯

マロー・オブライエン（1726年 – 1808年）は、アイルランド王国出身の貴族であり、政治家としても活動しました。彼は初代トモンド侯爵として知られています。アイルランド庶民院議員、グレートブリテン庶民院議員を歴任し、波瀾万丈な生涯を送りました。

生い立ちと初期のキャリア

1726年、マロー・オブライエンはジェームズ・オブライエンとメアリー・ジェフソンの息子として誕生しました。1743年には近衛歩兵第一連隊に入隊し、軍人としてのキャリアをスタートさせます。1747年には大尉に昇進しますが、1756年に軍務から引退しました。

軍を退いた後、マローは政治の世界へ足を踏み入れます。1757年から1760年までクレア選挙区、1761年から1768年までハリスタウン選挙区の代表としてアイルランド庶民院議員を務めました。

インチクィン伯爵位の継承と政界での台頭

1777年、マローの人生における大きな転機が訪れます。伯父である第4代インチクィン伯爵ウィリアム・オブライエンが亡くなり、彼がインチクィン伯爵位を継承したのです。同年10月にはアイルランド貴族院議員に就任し、11月にはクレア県総督に任命されました。

1784年、マローはリッチモンド選挙区から出馬し、グレートブリテン庶民院議員に無投票で当選しました。彼は議会において、当初は第1次小ピット内閣に対し野党の立場を取り、選挙改革や摂政法問題などで反対の姿勢を示しました。しかし、フランス革命戦争を境にホイッグ党から距離を置き、アイルランド王国とグレートブリテン王国の合同を支持するようになります。

侯爵位の獲得と晩年

マローは早くからアイルランド貴族の侯爵位を望んでおり、小ピットへの働きかけやポートランド公爵との交渉を重ねました。そして1800年、ついにトモンド侯爵に叙爵されます。この爵位には、彼の男系男子が絶えた場合、弟エドワード・ドミニク・オブライエンに継承権が与えられるという特別な規定が設けられました。

さらに、1801年には連合王国貴族であるトモンド男爵にも叙爵されました。しかし、彼はこれに満足することなく、官職への就任を求め続けました。1808年2月10日、落馬事故により亡くなり、彼の息子がいなかったため、トモンド男爵位は廃絶、トモンド侯爵位は弟の息子ウィリアムが継承しました。

家族

マローは2度の結婚をしています。1753年にメアリー・オブライエンと結婚し、一女をもうけました。メアリーは後に第4代オークニー女伯爵となっています。1792年にはメアリー・パーマーと再婚しましたが、彼女との間には子供はいませんでした。

マロー・オブライエンは、アイルランドとイギリスの政治史において重要な役割を果たした人物です。彼の生涯は、当時の貴族社会における権力闘争や政治的駆け引きを色濃く反映しています。

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