マンガン青銅

マンガン青銅は、黄銅（真鍮）にマンガンを加えた合金です。組成からマンガン黄銅とも呼ばれますが、スズを含まないにも関わらず「青銅」の名が用いられるのは、「青銅」が単なる銅合金を指す言葉としても使われるためです。一般的に、七三黄銅や六四黄銅の亜鉛の一部を数％のマンガンで置き換えたものを指します。このマンガンの添加により、黄銅の強度が著しく向上します。

マンガン青銅は、その優れた強度から、船舶、造機、鉱山機械といった、高い耐久性が求められる部品に広く用いられています。鋳造品としては、スクリューやシリンダー、バルブなどに利用され、圧延品はタービン翼やネジ、ボルトなどに加工されます。さらに、マンガンを5～15％添加することで、引っ張り強度と耐熱性がさらに強化されることがわかっています。

また、マンガンに加えて、アルミニウム、スズ、ニッケル、鉄などを少量添加することで、性能をさらに向上させることができます。特に、黄銅にマンガン3％、アルミニウム2％、鉄1.5％を添加した合金は、高力黄銅と呼ばれ、非常に高い強度を誇ります。この高力黄銅は、特に高い強度が求められる用途に最適です。

マンガン青銅とよく混同される合金に、亜鉛を含まない銅とマンガンの合金や、それらを改良した合金があります。これらは一般的にマンガン銅と呼ばれ、マンガン青銅とは区別されます。マンガン銅は、マンガン青銅とは異なる特性を持つため、用途に応じて使い分けられます。

マンガン青銅は、その強度と耐熱性、そして添加元素による性能調整の幅広さから、様々な産業分野で重要な役割を果たしています。材料特性を理解し、適切な用途に活用することで、製品の性能向上に貢献することができます。

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