マンガ少年

『マンガ少年』は、1976年9月号の創刊から1981年5月号の休刊まで、朝日ソノラマが発行していた月刊漫画雑誌です。手塚治虫が自身の作品『火の鳥』の連載を希望したことをきっかけに誕生しました。誌名も手塚治虫の意向によるものです。

その内容は、当時の漫画界を彩る豪華作家陣の作品で構成されていました。手塚治虫の『火の鳥』は長期連載され、『COM』で未完だった「望郷編」と「乱世編」を含む全編が掲載されました。さらに「生命編」、「異形編」も連載され、同時期に公開された実写映画やアニメ映画とメディアミックスを展開。手塚治虫の原稿の遅れがしばしば発生し、過去の作品で穴埋めがされたこともありました。

他にも、竹宮惠子の『地球へ…』は大きな話題となり、1980年にはアニメ映画化されました。石ノ森章太郎による『サイボーグ009』「海底ピラミッド編」、藤子・F・不二雄の少年向けSF短編、吾妻ひでおによる『美美』や『やけくそ黙示録』といった、多様なジャンルの作品が掲載されています。

特筆すべきは、みなもと太郎によるエッセイ「お楽しみはこれもなのじゃ」です。これは和田誠の映画評論「お楽しみはこれからだ」のパロディ作品でありながら、優れた漫画評論としても高い評価を得ています。

『マンガ少年』は多くの新人を輩出しました。マンガ少年新人賞からは、石坂啓、竜巻竜次、木村直巳、速星七生、神矢みのるといった漫画家たちが生まれました。また、細野不二彦、高橋葉介、あや秀夫、早坂照明なども、本誌でデビューを果たしています。

創刊時の発行部数は24万部でしたが、その後は10万部前後となり、休刊時には3万部程度にまで減少しました。休刊後、後継誌として『DUO』が創刊され、『アンドロメダ・ストーリーズ』や「最終戦争シリーズ」など、一部の作品の連載が引き継がれました。

『マンガ少年』は、単行本としても多くの作品を出版しました。特に『火の鳥』全9冊、『地球へ…』全4部などは、多くの読者に愛されました。連載作品以外にも、多くの読み切り作品が掲載され、その中には大友克洋、楳図かずお、永井豪といった、後に一大巨匠となる漫画家の作品も含まれています。

『マンガ少年』は、SFブームやアニメブームという時代背景の中で、多くの名作漫画を世に送り出し、数々の漫画家を育て上げた、日本の漫画史において重要な位置を占める雑誌でした。その影響は、後継誌である『DUO』や、現在活躍する多くの漫画家たちに受け継がれています。雑誌の休刊は惜しまれましたが、その存在は、日本の漫画文化に大きな足跡を残しました。

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