マンサンコミックス

マンサンコミックスは、日本の出版社である実業之日本社から刊行されている、漫画作品の単行本に使用される専門のレーベルである。このレーベルは、主に実業之日本社が発行する漫画雑誌、特に『漫画サンデー』や成人向け漫画雑誌である『comicキャンドール』などに掲載された多様なジャンルの作品を、単行本として読者に届ける役割を担っている。

その名称「マンサンコミックス」は、中核となる雑誌の一つである『漫画サンデー』の一般的な略称である「漫サン」に由来しており、このレーベルが雑誌と密接に連携しながら発展してきた歴史を物語っている。

かつて、マンサンコミックスから刊行される単行本の主流は、『漫画サンデー』に掲載されていたような、社会派アクションにユーモアを交えたり、大人の読者を対象としたお色気要素を含むストーリー漫画であった。しかし、成人向け漫画雑誌『comicキャンドール』が創刊され、その掲載作品がマンサンコミックスから単行本化されるようになったことを境に、状況は変化する。特に、アニメやゲーム文化の影響を受けた、いわゆる「萌え」と呼ばれる要素を主題としたストーリー漫画作品も多くラインナップに加わり、レーベル全体のイメージや取り扱うジャンルの幅が大きく広がった。

マンサンコミックスの単行本は、主にB6判からA5判という、一般的なコミックスよりもやや大きめの判型で刊行されることが多い。この判型は、内容によってはグラビアページやカラーページを収めるのに適している場合もある。

このレーベルからは、長期間にわたって連載が続き、数十巻、あるいは100巻を超えるような大長編となる作品も多く輩出されている。その代表例として、極道社会を描きながらもコメディ要素や恋愛要素を含み、長期間にわたり読者に親しまれた『静かなるドン』が挙げられる。このような長期連載作品は、レーベルの顔となり、多くの読者を引きつける要因の一つとなっている。

実業之日本社が現在手掛けている複数の漫画レーベルの中でも、マンサンコミックスは最も長い歴史を持っているという点で特筆される。マンサンコミックスが誕生する以前には、実業之日本社は「ホリデーコミックス」という別の漫画レーベルを運用していた時期がある。このホリデーコミックスは、当時発行されていた『漫画サンデー』の掲載作品を単行本としてまとめる役割を果たしており、現在のマンサンコミックスは、このホリデーコミックスの実質的な後継にあたる存在であると言える。このように、マンサンコミックスは実業之日本社の漫画単行本事業の歴史において、中心的な役割を担ってきた。その長い歴史の中で、社会の変化や読者のニーズに合わせて収録ジャンルを広げながら、多様な漫画作品を提供し続けているレーベルである。

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