マンチェスター・テリア

マンチェスター・テリアについて

マンチェスター・テリアは、イギリスのマンチェスター地域に由来する犬種で、別名ジェントルマンズ・テリアとも称されています。この犬種は、特にその優れた運動能力と愛情深い性格で知られています。また、トイ・マンチェスター・テリアという小型版も存在します。

歴史

この犬種は、19世紀におけるネズミ狩りやウサギ狩りの競技に合わせて誕生しました。当時、ネズミは害獣と見なされており、特にネズミ狩り用の犬が求められました。マンチェスター・テリアは、ブラック・アンド・タン・テリアやウィペットなどと交配され、高度な運動能力を持つ狩猟犬として育成されました。当初は競技犬として人気を博しましたが、その後は家庭用のペットとしての需要も高まりました。

ネズミ狩りの人気が続く中、1900年代にエドワード7世によって実施された犬の断耳禁止がマンチェスター・テリアの人気に影響を及ぼしました。断耳によって整えられていた耳が垂れ耳になり、この外見変化が多くの人々に好まれなくなったためです。断耳禁止後、犬種のイメージを再構築するための改良が進められ、耳を半立ちさせることに成功しました。これにより、頭部の外見が改善され、マンチェスター・テリアは再び人気を取り戻しました。

現在、この愛らしい犬種はイギリス国内外で愛されており、ペットやショードッグとして多くの場面で活躍しています。日本でも一定の人気を持ち、トイ・マンチェスター・テリアほどではありませんが、時折登録されていることもあります。

特徴

マンチェスター・テリアは、スリムでコンパクトな体型を持つ犬種です。身体的にはウィペットに似ており、長いマズルや脚を持ちながらも引き締まった流線型のボディが特徴です。耳は半立ち耳で、時折断耳によって整えられることもあります。また、尾はサーベル形で、無駄のないスマートな姿勢が印象的です。

被毛は滑らかなスムースコートで、一般的にはブラック・アンド・タンの色合いですが、稀に全身がブラックの個体も見られます。体高は約38〜41cmで、体重は5〜10kg程度と、中型犬と小型犬の間に位置する存在です。性格は穏やかで、フレンドリーな面が強調されています。運動量はやや多めですが、友好的でしつけにも応じやすく、初心者の飼い主にも適している犬種です。

ただし、元々ネズミ狩り用に作られたため、小型のペット（例えばハムスター）と一緒にすることは避けるべきです。遺伝的な病気には緑内障や血友病があるものの、現在の安定したブリーディングによってリスクは減少しています。

参考文献

• - 『犬のカタログ2004』（学研）中島眞理 監督･写真
• - 『日本と世界の愛犬図鑑2007』（辰巳出版）佐草一優監修
• - 『デズモンド・モリスの犬種事典』デズモンド・モリス著書
• - 『日本と世界の愛犬図鑑2009』（辰巳出版）藤原尚太郎編･著

関連項目

• - トイ・マンチェスター・テリア
• - ブラック・アンド・タン・テリア
• - ウィペット
• - 犬の品種一覧

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