マーキュリー・アトラス6号

マーキュリー・アトラス6号（フレンドシップ7）

マーキュリー・アトラス6号、通称フレンドシップ7は、アメリカ合衆国がマーキュリー計画の一環として打ち上げた有人宇宙船です。1962年2月20日にケープカナベラル空軍基地から発射され、このミッションは米国初の有人地球周回飛行を成功させる重要な役割を果たしました。さらに、この成功により、当時宇宙開発で先行していたソ連に対して、米国は技術的に追い上げていくこととなりました。

宇宙船の概要

フレンドシップ7の乗員は宇宙飛行士のジョン・グレンであり、このミッションは彼にとっては非常に特別なものでした。フレンドシップ7は、最低でも7周以上の地球周回を行う予定でしたが、飛行中にいくつかのトラブルに直面しました。記録的な宇宙飛行であったこのミッションは、さらなる冒険と挑戦を伴う出来事となるのです。

飛行中のトラブル

飛行開始後、フレンドシップ7は2周目に差し掛かると、いくつかの問題が発生しました。まず、予備の酸素タンクが12%減少していることが判明しました。さらに、宇宙船の衝撃吸収用エアバッグシステムのセンサーが異常値を示し、これは耐熱シールドが脱落しつつあることを示唆していました。これにより、ミッションは計画を変更せざるを得なくなり、3周目を終えた後に大気圏に再突入することが決定されました。

当初、グレンは何が起きているのか理解していませんでしたが、管制センターからの繰り返しの質問によって、事態が深刻であることを徐々に察知しました。再突入時、管制センターはエアバッグのスイッチを「自動」にするよう指示し、その結果、グレンは耐熱シールドの危機的状況に気づきました。さらに、点灯するはずのライトも消灯し、装置が正常に作動しない事態が続きました。

大気圏再突入

通常の手順では、逆推進ロケットを噴射してからその装置を切り離すところですが、今回は耐熱シールドの補強を期待して、装置を固定したまま大気圏に再突入することに決まりました。ジョン・グレンは後のインタビューで、「再突入時の熱がピークに達した際、逆推進ロケット装置が外れたと感じたが、その瞬間に火の玉のような破片が窓の外を通り過ぎ、耐熱シールドが破壊されているのではないかと不安になった」と語っています。この破片は、実際には逆推進ロケットが再突入の熱で壊れたのでした。

調査の結果、耐熱シールドそのものには実際には異常がなかったことが明らかになり、誤ったセンサーの故障が原因であったと分かりました。

着水と回収

無事に大西洋に着水したフレンドシップ7は、回収船によって引き上げられました。ジョン・グレンは上部ハッチを開ける予定であったが、宇宙船内が非常に高温になっていたため、緊急脱出用ハッチで迅速に外へ出ることを選びました。周囲に離れるよう指示した後、点火スイッチを押しました。彼は破片で手を負傷しましたが、笑顔で外に出て、第一声は「船内はとても暑かった」というものでした。

今日、フレンドシップ7はワシントンD.C.にある国立航空宇宙博物館の中央ホールに展示され、多くの人々にその壮大な歴史を伝えています。

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