マーサの幸せレシピ

概要

『マーサの幸せレシピ』（原題: Bella Martha, 英題: Mostly Martha）は、2001年に公開されたドイツ映画です。ハンブルクを舞台に、仕事に情熱を燃やす一人の女性シェフが、予期せぬ出来事をきっかけに人生を見つめ直し、新たな絆を築いていく物語です。料理を通して人々の心が通じ合い、家族の形が変化していく様を温かく描いています。主演を務めたマルティナ・ゲデックは、その演技でドイツ国内の主要な映画賞を受賞しました。

ストーリー

ハンブルクの高級レストランで腕を振るうシェフ、マーサ（演：マルティナ・ゲデック）は、その料理の腕は確かですが、自分の信念を曲げない一徹で少し融通の利かない性格です。日々のストレスから精神科医のカウンセリングに通う彼女の職場に、産休に入る同僚の穴を埋めるため、イタリア人の陽気なシェフ、マリオ（演：セルジオ・カステリット）が雇われます。マーサはマリオの自由なスタイルに戸惑い、レストランでの主導権を奪われるのではないかと感じ、一方的に対抗心を燃やします。

そんな中、マーサの人生を大きく変える出来事が起こります。彼女の姉が交通事故で急逝し、その一人娘である姪のリナを引き取ることになったのです。突然の環境の変化と母親を亡くした悲しみから、リナは心を閉ざし、何も食べようとしません。マーサはどのようにリナと接すれば良いか分からず途方に暮れますが、マリオの協力を得て、リナの行方不明だったイタリア人の父親、ジュゼッペの居場所を突き止め、手紙で姉の死とリナの状況を知らせ、リナを引き取ってくれるよう懇願します。

リナの世話に追われ、雇ったベビーシッターとも上手くいかないマーサは、リナを仕事場であるレストランの厨房に連れて行くようになります。ある日、マリオは食欲のないリナに気づき、得意の手打ちパスタをその場で調理します。美味しそうにパスタを食べるマリオの姿を見たリナは、やがて食欲をそそられ、夢中で食べ始めます。この出来事をきっかけに、マーサはマリオに対する見方を変え、彼の料理人としての才能や温かさ、そして異性としての魅力を意識するようになります。

次第にリナはマリオに懐き、彼と一緒にキッチンで料理を楽しむようになります。マーサ、マリオ、そしてリナの三人は、料理を通して少しずつ絆を深め、一緒に食卓を囲む温かい時間を持つようになります。しかし、その矢先、手紙を受け取ったリナの父、ジュゼッペがリナを引き取りにハンブルクのマーサの家に現れます。一度はリナをジュゼッペに引き渡しますが、リナのことが心配でいてもたってもいられなくなったマーサは、マリオと共にイタリアへ向かいます。

イタリアで再会したジュゼッペにはすでに新しい妻と家庭があり、リナはその環境に馴染めずにいました。マーサとマリオの突然の訪問に、リナは心から喜びます。ジュゼッペと新しい妻は、リナの幸せを願い、マーサとマリオにリナを託すことを決めます。こうしてリナを再び引き取ったマーサとマリオは、後に結婚し、三人で新しい家族として歩み始めます。物語は、不器用な女性シェフが、愛と料理を通して真の幸せを見つけるまでを描き、幕を閉じます。

受賞と評価

本作はドイツ国内で高く評価され、主演のマルティナ・ゲデックはドイツ映画賞およびドイツ映画批評家協会賞で主演女優賞を受賞しました。また、マリオ役のセルジオ・カステリットはヨーロッパ映画賞の男優賞に輝いています。料理をテーマにしたヒューマンドラマとして、国際的にも注目を集めました。

リメイク

本作は、2007年にハリウッドで『幸せのレシピ』としてリメイクされました。主演はキャサリン・ゼタ＝ジョーンズが務め、こちらも人気を博しました。

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