マーターズ

『マーターズ』（原題: Martyrs）は、2008年に公開されたフランスとカナダの合作によるスプラッター映画であり、その過激な描写と衝撃的な内容で、公開当時から賛否両論を巻き起こしました。

ストーリー

物語は1970年代初頭のフランスから始まります。少女リュシーは、廃墟と化した食肉処理場で長期間にわたる監禁、拷問、虐待を受け、辛うじて自力で脱出します。保護された彼女は施設に預けられ、そこでアンナという少女と出会い、彼女の支えによって心の傷を癒していきます。しかし、リュシーは「彼女」と呼ばれる怪物に苦しめられ続けます。それは過去のトラウマから生まれた、リュシーの想像上の存在でした。

15年後、リュシーは突如として平和な家族の朝食を襲い、ショットガンで家族全員を虐殺します。犯行後、リュシーはアンナに電話をかけ、殺害した両親が自分を監禁していた犯人であったこと、そして新聞に掲載された長女の水泳大会入賞記事でそれに気づいたことを告白します。その直後、「彼女」が現れてリュシーを襲いますが、アンナにはリュシーが自傷行為をしているようにしか見えません。そしてリュシーは「彼女」に襲われ、自身の首をナイフで切り、絶命します。

アンナは嘆き悲しみますが、偶然にも地下室で監禁され拷問を受けている女性を発見し、介抱しようとします。しかし、突然武装した兵士が現れ、その女性を銃殺します。そこに現れたのは、マドモアゼルと呼ばれるリーダーの老婆でした。彼女は、自分たちが宗教団体であり、リュシー以外にも多くの女性を監禁・虐待してきたことを告げます。その目的は、女性を長期間にわたって暗闇の中で拷問し続けることによって、死後の世界を見ることでした。ほとんどの犠牲者は死亡するか発狂してしまいますが、ごく稀に死後の世界が見える人間が現れるというのです。

アンナは連れ去られ、宗教団体によって監禁され、拷問を受けることになります。全身の皮を剥がされるなど、想像を絶する拷問の末、アンナはついにリュシーが見えるようになり、殉教者（マーターズ）となります。殉教の果てにアンナは何を見たのか？ 彼女はマドモワゼルにその内容を耳打ちします（観客には聞こえません）。

場面は変わり、アンナが見た「死後の世界」の真相を聞き出すために、宗教団体のメンバーが山奥の一軒家に集まります。これまで殉教に達した人間は4人いましたが、死後の世界について言葉を残したのはアンナが初めてでした。発表の直前、マドモワゼルは部下から「死後の世界は実在するのか？」と問われ、「死後の世界は実在する」と答えます。そして、「疑いなさい」という言葉を残し、拳銃で自殺します。

キャスト

モルジャーナ・アラウィ：アンナ
ミレーヌ・ジャンパノイ：リュシー
カトリーヌ・ベジャン：マドモアゼル

スタッフ

監督：パスカル・ロジェ
* 特殊メイク：ブノワ・レスタン

リメイク

2015年には、ケヴィン・ゴーツとマイケル・ゴーツ監督によって、ベイリー・ノーブルとトローヤン・ベリサリオ主演でハリウッドリメイク版が製作されました。

『マーターズ』は、その衝撃的な内容から、観る人を選ぶ作品と言えるでしょう。しかし、人間の極限状態における精神、信仰、そして死後の世界といったテーマに深く切り込んだ、他に類を見ない作品であることも確かです。

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