マーチン メリーランド

マーチン メリーランド（Martin Maryland）

マーチン メリーランドは、アメリカのマーチン社が設計した双発爆撃機であり、正式な社内呼称はモデル167（Model 167）です。この機体は、アメリカ陸軍によってXA-22という名称で試験が行われましたが、最終的に不採用となりました。しかし、メリーランドは後にイギリスに輸出され、イギリス空軍によって運用されることとなり、第二次世界大戦の初期において重要な役割を果たしました。

概要

モデル167に最初に注目したのはフランスであり、フランス空軍は「マーチン 167F」という名称で215機の発注を行いました。グレン・マーチン 167 A-3として正式に命名された後、1939年1月から納入が始まりました。しかし、アメリカの輸出規制により、フランスへの納入は遅れ、1940年のフランス降伏までに提供された機体はわずか4個飛行隊分しかありませんでした。それでも、この機体はLeO 451よりも優れた速度と操縦性を持っていたため、限られた数であったにも関わらずフランス空軍に重宝されました。

納入が遅れた75機はイギリスへ送られ、イギリス空軍はこれをメリーランド Mk Iとして採用しました。このMk Iは、エンジンを2段2速式過給器を装備したものに換装したMk IIが開発され、イギリス空軍は150機を注文しました。メリーランドは主に偵察爆撃機として使用され、戦闘任務においても重要な役割を担いました。

戦歴

メリーランドは、中東や北アフリカ、そしてイタリアを含む東地中海地域において主に運用されました。最初の配属部隊は1940年10月にマルタ島の偵察部隊に加わりました。同年11月11日には、イギリス海軍航空隊によるイタリアのタラント軍港への空襲に先立ち、イタリア艦隊の偵察任務を遂行しました。

さらに1941年5月には、ドイツの戦艦ビスマルクと重巡洋艦プリンツ・オイゲンがノルウェーを出発するのを発見し、いわゆる「ビスマルク追撃戦」の幕を開けたのも、イギリス海軍所属のメリーランドの偵察機によるものでした。

スペック

最後に、マーチン メリーランドの基本的なスペックについて以下にまとめます。

• - 全長: 18.70 m
• - 全幅: 14.22 m
• - 全高: 4.51 m
• - 翼面積: 50.03 m²
• - 全備重量: 7,625 kg
• - エンジン: P&W R-1830-S3C4-G 空冷星型14気筒 1,200 hp ×2
• - 最大速度: 447 km/h
• - 実用上限高度: 7,930 m
• - 航続距離: 1,950 km
• - 武装: 12.7 mm 機関銃 × 2、7.7 mm 機関銃 × 4、爆弾 907 kg
• - 乗員数: 3名

この機体は、戦争の戦歴において多大な貢献を果たし、その特徴と性能により一時期は戦闘機としても利用されました。

もう一度検索