ミサイルサイロ

ミサイルサイロ（Missile Silo）

ミサイルサイロは、大陸間弾道ミサイル（ICBM）などの大型ミサイルを格納するために特別に設計された建物のことを指します。一般には「サイロ」とも呼ばれ、その名称はかつて穀物を貯蔵するために使用されていたサイロに由来しています。

概要

初期の弾道ミサイルは、地表から直接発射する方式でした。そのため、待機中のミサイルは敵の攻撃に非常に弱く、瞬時に迎撃される危険がありました。しかし、地下に設置されたサイロを使用することで、これらのミサイルは大幅に防護されるようになりました。地下式サイロは、円筒形の穴にミサイルを収容し、上から吊り下げる構造になっています。このような構造は、敵の攻撃から施設を守るために、硬化された地下司令施設と共に設計されています。

地下サイロには、ミサイルの発射準備を行うための整備通路や発射管制施設が備えられています。また、液体燃料ミサイルのための燃料タンクも含まれることがあります。ミサイルが発射される際、サイロの蓋が開いてミサイルが地上に現れます。この過程によってサイロ内部のミサイルは安全に発射されます。また、発射管制要員は士官が担当し、居住区域で待機します。

このような地下式サイロは建設に多額の費用がかかり、現在大規模に運用しているのはアメリカ合衆国と中国のみです。イギリスやフランスは経済的な理由からサイロ建設を中止したり、運用を停止したりしています。

アメリカ合衆国では1960年代から地下式サイロの建設が始まりました。初期のICBMであるアトラスシリーズは、最初は地表に設置されており、防護が不十分でしたが、次第に地下サイロへと移行し、より高い防御性能を実現しました。旧ソ連では、軍備制限条約に基づき、一部のサイロが破壊され再利用が認められたものの、完全に廃棄されたわけではなく、まだ多くのミサイルが配備されています。

発射方式

サイロでのミサイル発射方法は大きく分けて「ホットローンチ方式」と「コールドローンチ方式」の2つがあります。ホットローンチ方式では、ミサイルがサイロ内で点火され、そのまま発射されますが、この方法ではサイロ内部が高温のエンジン排気で損傷する可能性があります。

対照的に、コールドローンチ方式では、高圧ガスを用いてミサイルをサイロの外へと射出し、その後でエンジンを点火します。この手法は、サイロが高温にさらされないため、再利用が容易で優れた防護性能を持っています。アメリカではピースキーパーはこのコールドローンチ方式を採用しています。

結論

ミサイルサイロは、時代の流れと共に進化を遂げ、現代の戦略防衛において重要な役割を果たしています。その防御力や発射方式の進化は、冷戦からの教訓を反映しており、今後もその役割は続いていくことでしょう。

もう一度検索