ミサ曲第2番 (シューベルト)

シューベルト：ミサ曲第2番 ト長調 D167

フランツ・シューベルトが1815年の3月はじめに作曲した《ミサ曲第2番 ト長調 D167》は、彼の残した三つのミサ・ブレヴィス（小ミサ曲）の中で最も広く親しまれている作品です。このミサ曲は驚くべき短期間、わずか一週間もかからずに書き上げられました。

作曲の背景と特徴

本作は、1815年3月2日から7日にかけて作曲されました。前年にミサ曲第1番が作曲者の教区教会で成功裏に初演されたことに続いて書かれたもので、おそらくシューベルト一家が通っていたリヒテンタールの教区教会での演奏を想定して作曲されたと考えられています。

音楽的な特徴としては、ソプラノのためのパッセージ群を除くと、独唱パートは比較的控えめに扱われています。作品全体を通して、華美さよりも深い祈りの雰囲気が強く感じられる構成となっています。

出版と受容の歴史

《ミサ曲第2番》は、作曲者の生前には出版されませんでした。楽譜が初めて世に出たのは、シューベルトの死から数年を経た1845年のことです。この作品は当時の音楽界ではほとんど知られていなかったため、初版の際には、プラハの聖ヴィート大聖堂で音楽監督を務めていたロベルト・フューラーによって、自身の作曲であると偽って発表されるという異例の出来事がありました。フューラーはこの横領行為により、最終的に収監されるに至りました。

しかし、やがて真の作曲者がフランツ・シューベルトであることが明らかになり、時が経つにつれて、このミサ曲は優れた作品として評価され、現在では広く演奏され、愛される作品の一つとなっています。

編成の変遷

当初、この作品は比較的シンプルな編成で作曲されました。必要なのはソプラノ、テノール、バスの独唱、混声合唱、弦楽合奏、そしてオルガンのみでした。

ところが、1980年代にクロスターノイブルクで、シューベルトの自筆総譜よりも新しい日付が記された、まとまったパート譜が発見されました。この発見により、シューベルト自身がこの作品にトランペットとティンパニのパートを追加し、全体に細かな修正を施すことで、より規模の大きな編成を構想していた可能性が明らかになりました。これを受けて、後にこの増強版に基づく総譜が出版されています。

これとは別に、シューベルトの兄であるフェルディナントも、作品の人気に応える形で、木管楽器、金管楽器、そしてティンパニのパートを独自に書いており、異なる編成による演奏の選択肢も存在します。

楽曲構成

《ミサ曲第2番》は、カトリック典礼文に基づく以下の6つの部分から構成されています。全曲の演奏時間はおよそ22分です。

1. キリエ：Andante con moto、ト長調、3/4拍子
2. グローリア：Allegro maestoso、ニ長調、4/4拍子
3. クレド：Allegro moderato、ト長調、2/2拍子
4. サンクトゥス：Adagio moderato、ニ長調、4/4拍子
- Osanna in excelsis...：Allegro、2/4拍子
- ベネディクトゥス：Andante grazioso、ト長調、6/8拍子。ソプラノ、テノール、バス独唱によるカノン形式。
- Osanna in excelsis...：ニ長調、Allegro、2/4拍子
5. アニュス・デイ：Lento、ト長調、4/4拍子

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