ミサ曲第2番 (ブルックナー)

ミサ曲第2番 ホ短調（WAB.27）

アントン・ブルックナーが作曲したミサ曲第2番ホ短調は、彼の2番目のミサ曲であり、1866年から1869年の間に作曲されました。この作品はリンツの新大聖堂建設の祝賀を目的としており、初演は1869年に行われました。1882年に改訂版が作成されていますが、最初の版も十分に評価されています。

作曲の背景

ブルックナーは1866年8月から11月にかけてこのミサ曲を作曲しましたが、当初予定されていた大聖堂の完成が遅れたため、初演が数年遅れることとなりました。このような背景を持つ作品であったため、彼の音楽スタイルや精神が如何にこの作品に反映されているかを理解することが重要です。

初演

ミサ曲第2番の初演は1869年9月25日に、リンツの大聖堂の野外で行われ、ブルックナー自身が指揮を執りました。後に改訂版も1885年にリンツで初演され、いずれの版も深い感銘を与えました。

編成

本作は、混声合唱と管楽オーケストラを用いた独特の編成を持っています。具体的には、混声合唱に加え、オーボエ、クラリネット、ファゴット、ホルン、トランペット、トロンボーンが使われます。演奏時間は約35分で、オルガンを追加した改訂版も存在しますが、管楽器だけの編成が一般的です。

作品の構成

キリエ

この部分は荘重に、ホ短調で始まります。合唱は8声部に分かれ、女声が「キリエ・エレイソン」を歌い、男声が続いて応える形で進行します。旋律は盛り上がりを見せ、最後はホ長調で静かに消えます。

グローリア

次に位置するグローリアは、アレグロでハ長調に設定されています。合唱は4声に減り、女声がファゴットの伴奏で歌います。音楽は徐々に厚みを増し、「ひとり子なる主、イエス・キリスト」での頂点を作りあげます。その後、旋律が静かに穏やかに進行し、再び高まりを見せます。

クレド

この部分では、アレグロ・モデラートの4分の3拍子で進行します。独唱から始まり、合唱が徐々に展開します。手がけられているグレゴリオ聖歌の抜粋が特徴で、合唱の和声が美しく広がります。途中でアダージョに変わり、静かで厳粛な響きが生まれます。

サンクトゥス

おだやかに歌われるサンクトゥスは、4分の4拍子のト長調で、合唱が再度8声に分かれます。「聖なるかな、聖なるかな」というフレーズが対位法的に響き渡り、その後金管と合唱が結びつき壮麗な仕上がりとなります。

ベネディクトゥス

モデラートのテンポで、合唱は2声部で歌い始め、男声も時折分割して活用されます。その伴奏は複雑に展開し、一瞬の静寂を経て盛り上がりを見せます。

アニュス・デイ

最後の部分であるアニュス・デイは、アンダンテのホ短調で再度8声に分かれます。合唱は感情深く歌い上げ、旋律は流れるように進行します。「我らに平安を与えたまえ」とのフレーズを経て、作品は静かに終わりを迎えます。

参考文献

• - 「ミサ曲第2番」フルスコア（オイレンブルク版 No.1606）
• - 作曲家別名曲解説ライブラリー5『ブルックナー』（音楽之友社　ISBN 4-276-01045-4）

このミサ曲は、ブルックナーの特徴的なスタイルが表れた重要な作品として評価されており、今なお多くの演奏会で取り上げられています。

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