ミシシッピ州の旗

ミシシッピ州旗の変遷：過去、現在、そして未来

ミシシッピ州旗は、その歴史の中で何度かデザインが変更されてきました。特に、2020年まで使用されていた旗には南軍旗が組み込まれており、長年にわたり議論の的となっていました。ここでは、ミシシッピ州旗の歴史、変更の背景、そして新しい州旗について詳しく解説します。

初代の州旗：「マグノリアの旗」

1861年以前、ミシシッピ州には公式な州旗が存在しませんでした。南北戦争開戦間近の1861年1月9日にミシシッピ州が合衆国からの離脱を宣言した際、傍聴席にいた人物が議場の議員にボニーブルーの旗を手渡し、独立の象徴として州会議事堂に掲げられました。この旗は「マグノリアの旗」とも呼ばれ、1861年3月30日から1865年8月22日まで公式な州旗として使用されました。旗のデザインは、白地にマグノリアの木が描かれ、左上隅に青地で中央に白星があしらわれたものでした。

2代目の州旗：南軍旗を組み込んだデザイン

1894年2月7日、ミシシッピ州立法府は、南北戦争時代のマグノリア旗を、エドワード・N・スカッダーがデザインした新しい旗に変更しました。この旗は、青・白・赤の水平方向の三色旗で、カントン部分に南軍旗が描かれていました。南軍旗は、南北戦争時代の北バージニア州陸軍の戦闘旗であり、後にアメリカ連合国を象徴する旗となりました。旗の上にある13個の星は、連邦から離脱した11州に、南軍と連邦の両方の統治機関を持っていたミズーリ州とケンタッキー州を加えた13州を表していると考えられています。

この旗は長らくミシシッピ州の公式な旗として使用されましたが、南軍旗のデザインが物議を醸し、何度も変更の提案がなされました。

州旗変更の提案と住民投票

2001年、当時のロニー・マスグローブ州知事は独立委員会を任命し、新しい州旗のデザイン案を作成させました。提案された新しい州旗は、カントンの南軍旗を20個の星に置き換えるものでしたが、2001年4月17日に実施された住民投票では、1894年の州旗を維持することが決定されました。

2015年には、サウスカロライナ州チャールストンで発生した教会銃乱射事件をきっかけに、南部の各州で南軍旗の使用を見直す動きが広まりました。ミシシッピ州でも、州旗に対する批判が高まり、複数の大学や市・郡が州旗の掲揚を拒否するようになりました。

2020年の州旗変更：歴史的な転換点

2020年6月、ジョージ・フロイドの死亡事件後の抗議運動の高まりを受け、ミシシッピ州議会は州旗の変更に向けた動きを加速させました。州議会は、現行の州旗を廃止し、新しい州旗を策定するための法案を可決しました。法案では、新しい州旗のデザインに南軍旗を含めず、アメリカ合衆国の国是である"In God We Trust"という文言を入れることが定められました。

2020年11月3日、新しい州旗のデザインが住民投票にかけられ、賛成多数で承認されました。新しい州旗は、中央にマグノリアの花が描かれ、その下部に"In God We Trust"と書かれたデザインです。

ホスピタリティ・フラッグと200周年旗

州旗変更の議論の中で、代替となるデザインも提案されました。ローリン・ステニスが考案した「ホスピタリティ・フラッグ」は、白地の中央に大きな青色の星が配され、その星が19個の小さな星で囲まれたデザインでした。また、2017年の州設立200周年を記念して作成された「200周年旗」は、南軍旗がなく、中央に州の公印が配置されたデザインでした。

新しい州旗の意義

ミシシッピ州旗の変更は、単なるデザインの変更にとどまらず、州の歴史と向き合い、人種間の和解を進めるための重要な一歩となりました。新しい州旗は、ミシシッピ州の未来に向けた希望と団結を象徴するものとして、州民に愛されることが期待されます。

ミシシッピ州旗の変遷は、アメリカ社会における人種問題の複雑さと、変化への道のりの長さを物語っています。新しい州旗が、すべての州民にとって誇りとなるシンボルとなることを願います。

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