ミス・ユニバース2015

第64回目を迎えたミス・ユニバース世界大会は、2015年 12月20日（日付はいずれも現地時間）にアメリカ合衆国ネバダ州ラスベガスにある会場「ジ・アクシス」で開催されました。世界80の国と地域から選ばれた美の代表たちが集結し、栄光のティアラを目指して競い合いました。

激戦を制し、この年のミス・ユニバースの座に輝いたのは、フィリピン代表のピア・ウォルツバック氏でした。彼女には、前年の優勝者であるコロンビア代表のパウリナ・ベガ氏から、後継者としてミス・ユニバースの栄冠が引き継がれました。

日本からは、宮本エリアナ氏が出場しました。宮本氏は見事な活躍を見せ、大会の上位であるトップ10に見事に入賞する成績を収めました。

大会の背景と所有権の変更

この2015年大会は、WME/IMGという企業グループが新たにオーナーシップを取得してから初めて開催された記念すべき大会でもありました。WME/IMGは、大会開催の数ヶ月前、具体的には2015年9月14日に、当時のオーナーであったドナルド・トランプ氏からミス・ユニバース機構を買収しています。

この買収の背景には、NBCユニバーサルとの複雑な経緯がありました。NBCユニバーサルは、トランプ氏によるメキシコ移民に関する発言への反発などから、2015年9月11日にミス・ユニバースおよびミスUSA大会のテレビ放送契約を打ち切っていました。これに対し、トランプ氏は8月にNBCユニバーサルを相手取って債務不履行による訴えを起こしていましたが、買収の3日前に、この訴えを取り下げることと引き換えに、機構の将来的な利益の50パーセントをトランプ氏に売却するという合意が成立していたのです。

新たな放送局と歴史的な出来事

このような所有権の変更に伴い、大会の放送局も変更されました。従来の英語放送ネットワークであったNBCとその親会社であるNBCユニバーサルに代わり、この大会からフォックス放送が英語での中継を初めて担当しました。また、スペイン語放送ネットワークも、ユニビジョン・コミュニケーションズ傘下のウニマスから、アステカへと変更されました。ウニマスとユニビジョン・コミュニケーションズは、前述のトランプ氏のメキシコ移民に関する発言に強く反発し、既に大会の放送権を放棄していました。

司会者による前代未聞のハプニング

2015年大会は、所有権の変更といった背景に加えて、司会者が優勝者の名前を誤って発表するという、大会史上稀に見る異例のハプニングによって、世界中のメディアから大きな注目を集めることになりました。

その瞬間、司会を務めていたスティーヴ・ハーヴィー氏は、優勝者として誤ってコロンビア代表のアリアドナ・グティエレス氏の名前を読み上げてしまいました。誤って優勝と告げられたミス・コロンビアは、前年の優勝者であるパウリナ・ベガ氏から、まさにミス・ユニバースのティアラを受け取ろうとしていました。

しかし、その感動的な瞬間の最中に、ハーヴィー氏は割って入り、「謝罪しなければなりません」と述べ、自身の発表が誤りであったことを告白しました。そして、コロンビア代表は優勝者ではなく、優勝者に次ぐ「第1位」（つまり準優勝）であることを訂正し、真の優勝者はフィリピン代表のピア・ウォルツバック氏であったことを改めて発表しました。

この前代未聞の事態に対し、ハーヴィー氏は後に釈明を行いました。彼によると、手元のカードには上位入賞者たちの名前が記載されており、準優勝者であるミス・コロンビアの名前の横に記されていた「1」という数字にのみ注意が向いてしまい、正しい優勝者の名前を読み間違えてしまったとのことです。

特別賞受賞者

この大会では、以下の特別賞も発表されました。

ミス・コンジニアリティ: アンゴラ代表ホイットニー・シコンゴ氏
ベスト・ナショナル・コスチューム: タイ代表アニポーン・チャレームプラナウォン氏
* ミス・フォトジェニック: ニュージーランド代表サマンサ・マクラング氏

2015年のミス・ユニバース世界大会は、所有権の歴史的な変更と、司会者による前代未聞のハプニングという、二つの大きな出来事によって、後世に語り継がれる大会となりました。

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