ミズオオバコ

ミズオオバコ (Ottelia alismoides)

ミズオオバコは、トチカガミ科ミズオオバコ属に分類される水草であり、日本を含むアジア、さらにはオーストラリアなどで広く自生しています。この植物は湖沼やため池、水田などの淡水環境で見られ、水中に沈んだ状態で育ちます。特に、葉のサイズは成長する環境によって異なり、通常5〜40cm程度に変化します。深い水域では、より大きな個体が育つ傾向があります。

生態

ミズオオバコの生長期間は主に夏から秋にかけてであり、この時期に水面に花茎を伸ばして花を咲かせます。花は一日花で、通常は紅色がかった白色の3枚の丸い花弁を持ちます。基本的に、1本の花茎に1つの花が付きますが、複数の花が開花することも稀にあります。雄蕊は3〜6本、雌蕊は6本から構成され、どちらも特徴的な黄色で成り立っています。

花が咲いた後、花茎は短縮し水中に戻りますが、種子が成熟すると再び水面に上がり、果実を三つ裂きながら種子を散布します。これにより、新たな世代のミズオオバコが育成されます。

生育環境

ミズオオバコは、栄養が豊富な浅い水域を好みますが、過去には水田の主要な雑草として知られていました。近年では、農業環境の変化や池の埋め立て、水質汚濁により、その生息数は大幅に減少しています。しかし、田んぼビオトープなどで水田環境を回復させる取り組みがなされている場合には、ミズオオバコが再び見られるケースもあります。

利用

沖縄島北部や八重山地方では、ミズオオバコは「タークブ」として知られ、食用にされてきました。また、アクアリウムの観賞用植物としても人気があります。しかし、飼育には高い難易度が伴い、20mg以上の炭酸ガスの添加、強い照明、底床肥料などが必要です。

変異

ミズオオバコは、個体や環境による変異が顕著で、昔からその分類に混乱が見られました。標準的な形態は、はっきりとした模様のある幅広い葉ですが、流れのある水域では狭い葉を持つこともあります。さらに、大きさによる違いからオオミズオオバコとの区別がなされることもありましたが、現在では同一種として認識されています。また、花茎に複数の花を持つ個体は「セタカミズオオバコ」として別種であると見なされることもありますが、これも形態変異の一環として理解されています。

脚注

• - オオバコ: 名前にオオバコとついているものの、系統的には近縁ではありません。
• - トチカガミ科: ミズオオバコが属する科の情報。

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