ミセバヤ

ミセバヤ（見せばや） Hylotelephium sieboldii

ミセバヤは、ベンケイソウ科に属する多肉質の宿根草で、古典的な園芸植物として多くの人々に親しまれています。和名の「見せばや」は、古語に由来し、高野山の僧侶が詠んだ和歌に由来していると言われており、その名の通り、見た目が美しいことが特徴です。また、別名で「玉緒」とも呼ばれています。ミセバヤの花言葉には「つつましさ」や「大切なあなた」という意味も込められています。

分布

日本全国各地で古くから園芸用に栽培されており、多くの地域で見られます。群馬県では野生化した個体も確認されており、特に香川県小豆島の寒霞渓では自生地が知られています。最近では奈良県内にも新たな自生地が発見され、変種のエッチュウミセバヤは富山県の山岳地帯に見られます。命名の由来から推測するに、古代にはもっと広い地域に生息していた可能性も考えられています。中国湖北省にも変種が自生していることが確認されています。

形態

ミセバヤは、根茎から上向きまたは下垂する茎を持ち、その長さは通常20cm程度ですが、栽培環境では30cmを超えることもあります。葉は3枚ずつ輪生しており、葉柄がなく、先端が円形で基部が細いため、若干の鋸歯があります。葉は白みがかった緑色で、葉縁は赤味を帯びた色をしています。秋から冬にかけて全体が紅葉し、葉の縁と同じ色に変化します。花は10月から11月にかけて咲き、花茎の先端に散房花序が形成されます。花は淡紅色で、直径1cm程度の小さな花弁を持っています。

変種

エッチュウミセバヤは、花序が半球形で葉が卵形である点がミセバヤとは異なります。

近縁種

ミセバヤには、いくつかの近縁種が存在しますが、特にアルタイミセバヤが海外産の種であり、その他は日本の種です。それぞれが観賞用として栽培されており、ヒダカミセバヤは特に小型で人気があります。

保護上の位置づけ

環境省のレッドリストに掲載されており、絶滅危惧IB類（EN）に分類されています。自生地は限られており、どちらの自生地域でも個体数が少ないことから、保存が求められています。

生態

ミセバヤは、日当たりの良い露出した岩場で育ち、栽培個体が逸出することもあります。主に鉢植えとして楽しまれ、春には発芽し、花茎を伸ばして開花します。晩秋には地上部が枯れ、地下の根茎で越冬します。

人間との関係

ミセバヤは、その美しい葉と花の魅力から古くから観賞用として栽培されてきましたが、特に江戸時代には人気が高く、明治以降は他の植物に取って代わられました。学名の由来は、シーボルトに関連しています。

栽培

この植物は古くから栽培されているため、比較的育てやすいです。鉢植えにはサボテン用の用土を使い、日当たりの良い場所で管理します。水やりは控えめが基本です。病虫害に強いものの、稀に注意が必要です。夏場は風通しの良い場所に置き、冬の保護も考慮する必要があります。

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