ミックステープ

ミックステープ（Mix tape）とは、主にアメリカ合衆国で制作・販売される音楽メディアの一種で、ミックスCDとも呼ばれます。特にヒップホップ、ラップ、R&B、レゲエなどの音楽ジャンルにおいて、その独自の文化を形成してきました。

ヒップホップ・R&Bシーンにおけるミックステープ

これらのジャンルにおけるミックステープは、DJが未発表または既発表の楽曲にリミックスを施し、多くの場合、権利者の許可を得ずに路上などで販売されるカセットテープを指します。これはヒップホップ文化の一つの側面とも言え、アーティストやレコード会社は楽曲のプロモーション効果を期待し、DJは自らのリミックス技術をアピールする手段として活用するため、本来は著作権法に抵触する行為ながらも、ほぼ黙認されているのが現状です。時には、アーティストがDJに直接楽曲を提供するケースも見られます。

ミックステープは形式上、プロモーション用とされていますが、実際には路上販売や店舗での販売が行われています。近年では、インターネット上でのダウンロード販売や無料ストリーミングといった形でも提供されることが増えています。

DJによるリミックスの手法は様々で、楽曲をそのまま収録するものから、メロディーを独自のものに変えるものまで存在します。未発表の楽曲に関しては両方の手法が見られますが、既にリリースされた楽曲のリミックスでは、後者の手法が一般的です。また、正規の楽曲では実現し得ないアーティスト同士のフィーチャリング、例えば、故2PacとThe Notorious B.I.G.といった伝説的なラッパー同士の組み合わせや、異なる世代のアーティスト同士の共演などが擬似的に行われることもあり、人気を集めています。

ミックスCD（テクノ・トランス）

一方、テクノやトランスといったジャンルでは、ミックステープとは異なり、ミックスCDとしてEU圏で多く販売されています。これらのCDは、楽曲同士のテンポを合わせ、クロスフェーダーを駆使した選曲が特徴です。DJがライブパフォーマンスをそのまま録音し、販売するケースや、クラブデビューを目指すDJが自作のミックスCDをクラブやレコード会社に配布するケースも見られます。

ミックステープ、そしてミックスCDは、音楽文化の多様性を示すものであり、アーティストとDJ、そしてリスナーを結びつける重要な役割を果たしています。違法性という側面を持ちながらも、音楽業界に新たな可能性をもたらし、独自の進化を遂げてきたその存在は、無視できないものと言えるでしょう。

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