ミネハハ 秘密の森の少女たち

ミネハハ　秘密の森の少女たち：閉ざされた空間の歪みと残酷な運命

2005年公開の映画『ミネハハ　秘密の森の少女たち』（原題：The Fine Art of Love: Mine Ha-Ha）は、イタリア、イギリス、チェコの合作作品です。フランク・ヴェデキントの小説『ミネハハ』を原作としており、前年に公開された『エコール』と比較されることも多い作品です。特に日本では、DVDパッケージのデザインも『エコール』を意識した作りになっている点が注目されています。

『エコール』と比較すると、『ミネハハ』では少女たちの年齢層が高く設定されており、それに伴い、より残酷で衝撃的な描写が多く含まれています。そのため、ホラー映画としての側面が強い作品となっています。

物語は、森の中に位置する全寮制の女子学校を舞台として展開します。この学校で暮らす少女たちは、外部との接触を厳しく制限され、バレエ、器楽、礼儀作法といったレッスンに励んでいます。物語の中心となるのは、最上級生であるヒダラ、メルジーニ、ブランカの3人です。彼女たちは、学園のスポンサーである「公爵」へのバレエ公演に向けて、主役の座を争っています。

ヒダラに好意を寄せるイレーネは、彼女と情熱的な関係を築き、強い絆で結ばれていきます。一方、好奇心旺盛なヴェラは、秘密の図書室の鍵を盗み出し、ヒダラ、イレーネ、メルジーニと共に図書室に侵入します。そこで、彼女たちは偶然、校長が隠し扉の中に入るのを目撃します。

後日、再び図書室を訪れたヴェラたちは、保管されていた資料から、バレエ教師のゲルトルートやシンバが、この学園の卒業生であったことを知ります。さらに、隠し扉を開けて秘密の部屋に侵入すると、そこには生徒たちのプロフィールが保管されていました。しかし、ある引き出しを開けた瞬間に警報が鳴り響き、逃げ遅れたヴェラは閉じ込められてしまいます。校長はヴェラが閉じ込められていることを知りながら、意図的に放置し、後日、ヴェラの失踪を「脱走」として隠蔽します。

ヴェラの失踪を不審に思ったメルジーニは、ヴェラの消息を探るため、外部との接触を試みます。しかし、数日後、ヴェラらしき遺体が埋められるのを目撃し、パニックに陥ったメルジーニは脱走を試みますが、番犬に襲われ重傷を負います。そして、モルヒネの投与により「安楽死」させられてしまいます。

一方、ヘレナと貴婦人がバレエのレッスンを見学に訪れ、ヒダラとブランカを全裸にして体を観察します。そして、ブランカを主役として決定します。この状況を見たイレーネは、ヒダラを主役にするため、ブランカとゲルトルートの恋愛関係を校長に密告し、二人を学園から「追放」させます。

いよいよバレエ公演当日。少女たちの演技に「公爵」は満足し、深紅の薔薇をヒダラに投げ与えます。しかし、その薔薇の意味を悟ったイレーネはショックを受け、幕間に首吊り自殺をしてしまいます。親友を失ったヒダラは、踊りながら背景幕に放火し、劇場は騒然となります。「公爵」はヒダラを抱きかかえて連れ去りますが、そこにヘレナが現れます。

この映画は、閉鎖された空間における少女たちの歪んだ関係性、そして残酷な運命を、美しい映像と重厚な演出で描き出しています。少女たちの葛藤、欲望、そして絶望が、観る者の心に深く刻まれる、忘れ難い作品と言えるでしょう。

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