ミネルバ共和国

ミネルバ共和国

概要

ミネルバ共和国（英: Republic of Minerva）は、アメリカ合衆国のマイケル・オリバーによって構想されたミクロネーションであり、太平洋に浮かぶミネルバリーフを舞台にしています。オリバーは不動産業で成功を収めた実業家で、自由な社会を求めてリバタリアンの楽園を実現しようとしました。彼は様々なミクロネーションの国造りや島の独立運動を支援し、多くの試みを行いました。

歴史と背景

ミネルバ環礁は1852年にアメリカ人の捕鯨漁師によって発見されましたが、しばらくの間は特に領有する者はいなかったとされています。太平洋戦争中の1942年頃にはアメリカ軍によって一時的に占拠されたこともありましたが、その後は再び無人となっていました。1971年、オーストラリアからの砂を使用して環礁の埋め立てが行われ、1972年1月19日にオリバーは独立を宣言しました。事実上、モリス・C・デイヴィスが大統領に選出され、国の運営が始まりました。

しかし、周辺諸国のトンガやフィジー、オーストラリアなどとの間で領有権を巡る争いが勃発しました。特にトンガは、過去に漁業活動をしていた自国民がこの環礁を訪れていたことを根拠に、ミネルバの領有権を主張しました。最終的に、国際的な論争の末、トンガによって共和国の旗は降ろされ、環礁は正式にトンガの領土となりました。これにより、デイヴィスはオリバーから「解雇」され、ミネルバの建国計画は混乱のうちに頓挫しました。

再度の占拠とその後

1982年、再びデイヴィスを中心としたアメリカ人グループがミネルバを占拠しようとしましたが、トンガ軍によって強制撤退させられました。その後も、ミネルバの再建を試みる団体は復数存在し、なかには米国サウスカロライナ州に拠点を置く団体もありました。この団体は2003年に「カルビン公（Prince Calvin）」と名乗る人物によって設立され、公国に格上げしようとする意向を表明していますが、他のメンバーは従来の共和国の形態を維持することを志向しています。このため、団体内での意見の相違が生じています。

実際にミネルバリーフを占拠するような事態は発生しておらず、あくまでも名目上の運営が続いている状況です。さらに、2005年にはフィジーがミネルバ環礁の領有権を巡る訴状を国際海底機構（ISBA）に提出し、これに対してトンガも反訴を行いました。興味深いことに、ミネルバ「公国」グループも同様の反訴を提出しています。

マイケル・オリバーとその活動

オリバーはフェニックス財団の責任者としてミクロネーションの構想を幅広く支援してきました。彼はすでに知名度のある国家に対しても金銭的な支援を行っており、バヌアツ独立共和国やスティーブンス共和国、ヴェマラナ共和国などと関わりを持っています。オリバーのビジョンには、地域を超えた自由と自治を目指す試みが色濃く反映されています。

このように、ミネルバ共和国の歴史は波乱に満ちており、様々な国際的な要素が絡み合っています。未だ解決を見ない領有権争いや、現代のミクロネーション運動のあり方について考えさせられる事例です。

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