ミハイル・ミシュスチン

ミハイル・ウラジーミロヴィチ・ミシュスチンは、1966年3月3日にロシアのロブニャで生まれました。彼は、ロシア連邦の政治家であり経済学者です。現在、ロシア連邦政府の議長（首相）という重要な役職を担っています。

生い立ちと初期のキャリア

ミシュスチンは、ユダヤ系の父親とロシア人の母親の間に生まれました。1989年にモスクワ機械・精密機器大学でシステム工学の学位を取得し、1992年には同大学の大学院を修了しました。大学院修了後、彼は試験所の監督としてキャリアをスタートさせ、後にInternational Computer Club (IAC) の理事会を率いました。このIACは、後に公的非営利団体となります。

税務官僚としてのキャリア

1998年、ミシュスチンはロシア連邦税務局に入局し、税務官僚としてのキャリアをスタートさせました。彼は税務・公共料金担当省（国税庁）次官、経済開発貿易省連邦不動産総局局長、連邦経済特別区管理局局長など、数々の要職を歴任しました。2008年3月には一時的に公務員を退職し、投資分野のビジネスに携わりますが、2009年2月には大統領の人事リストに名を連ねます。そして2010年4月、彼は連邦税務局長官に任命され、ロシアの納税システムの近代化とデジタル化に大きく貢献しました。

ロシア連邦政府議長（首相）への就任

2020年1月15日、当時のドミートリー・メドヴェージェフ首相が内閣総辞職を表明したことを受け、ウラジーミル・プーチン大統領はミシュスチンを後任の首相に指名しました。翌日、国家院議会はミシュスチンを賛成多数で承認し、第11代連邦政府議長に就任しました。同時に、彼は連邦税務局長官を退任しました。

ウクライナ侵攻と経済制裁への対応

2022年2月にロシアによるウクライナ侵攻が開始されると、ミシュスチンを含むロシア政府高官は各国からの制裁対象となりました。しかし、ミシュスチン自身は経済テクノクラートとしての側面が強く、戦争に対して直接的な公式発言はほとんど行っていません。彼は主に西側諸国による経済制裁に対する反発を表明し、経済面での対応に注力しています。

2024年5月7日、プーチン大統領が5期目に突入し、憲法規定に従い内閣は総辞職しましたが、ミシュスチンは下院の承認を経て5月10日に首相として再任されました。プーチン大統領は、ウクライナ侵攻に伴う経済制裁に対処してきたミシュスチンの手腕を高く評価しています。

新型コロナウイルス感染症対策

ミシュスチンは、新型コロナウイルス感染症の流行においては、対策本部の指揮を執りました。2020年4月30日には、プーチン大統領とのビデオ通話で自身の新型コロナウイルス感染症陽性を報告し、自主隔離に入りました。その間、執務はリモートワークで継続し、アンドレイ・ベロウソフ第一副首相が首相代行を務めました。ミシュスチンは同年5月19日に復職しました。

評価

ミハイル・ミシュスチンは、税務官僚としての確かな実績を持つ一方で、政治的な実績は少ないとされています。しかし、彼は税務システムの近代化とデジタル化を推進し、ロシア経済の発展に大きく貢献しました。また、首相としては、経済制裁への対応や新型コロナウイルス感染症対策など、数々の難題に対処し、その手腕が高く評価されています。

ミシュスチンは、テクノクラートとしての能力を発揮し、ロシア政府において重要な役割を果たし続けています。

もう一度検索