ミミズハゼ

ミミズハゼとは

ミミズハゼは、ミミズハゼ属（Luciogobius）に分類されるハゼの総称であり、特にLuciogobius guttatusという種を指す場合もあります。その名の通り、ミミズのような細長い体型が特徴で、日本各地の河口や海岸で見られます。ミミズハゼ属は、東アジアに分布しており、中でも日本は多様性が高い地域です。現在、16種類の有効種が確認されていますが、そのうち15種は日本に生息しています。さらに、未だ記載されていない種も多数存在すると考えられています。

特徴

ミミズハゼ属の魚類は比較的小型で、全長は4cmから10cm程度です。体は円筒形で細長く、鱗がなく、皮膚は粘液で覆われています。他のハゼ科魚類と比較して、鰭が退縮している傾向があります。多くのハゼが2つの背鰭を持つか、それらが癒合して1つの長い背鰭を形成するのに対し、ミミズハゼ属には第一背鰭がありません。また、腹鰭についても、吸盤状ではなく皮弁状であったり、全く持たない種も存在します。

体色は種や生息環境によって大きく異なり、一般的なミミズハゼやイソミミズハゼは濃い緑褐色や黒褐色をしていますが、地下水に生息するイドミミズハゼやドウクツミミズハゼはピンクやベージュに近い色をしています。また、アカツキミミズハゼやヒイロナガミミズハゼのように、鮮やかな赤色を示す種もいます。

生息場所と生態

ミミズハゼ類は、海岸、河川の淡水域、河口などの汽水域に生息し、転石の下や礫の間に潜んでいます。一部の種は地下水中で生活しています。細長い体は、石や砂の間を通り抜けるのに適応した結果と考えられます。肉食性で、生息地で見られる小さなゴカイやヨコエビなどを捕食します。多くの種は、礫や砂利の隙間に隠れているため、注意して探さないと見つけるのは困難ですが、イソミミズハゼやミミズハゼは比較的簡単に見つけることができます。

飼育は比較的容易で、ミミズハゼやイソミミズハゼは汽水であれば飼育可能です。ただし、ナガミミズハゼ種群やヤリミミズハゼ種群は、適切な隙間のある底質環境を用意しないと、うまく飼育できません。

人間との関わり

一般的に食用として利用されることは少ないですが、地域によっては釣り餌として利用されることがあります。転石海岸でイカの足を餌にして釣り上げる漁法も存在します。

繁殖

産卵期は春で、オスは頬が左右に張り出すことが多いとされますが、詳しい生態は不明な点が多く、繁殖期にメスは肥大した卵巣が透けて見えるようになります。多くのハゼと同様に、石の下などに産卵し、オスが卵を保護する行動が見られます。孵化した稚魚は一旦海に下り、ある程度成長してから汽水域に戻る両側回遊型の生活史を持つと考えられています。

分類

以前はコマハゼ属の魚類もミミズハゼ属に含まれていましたが、分子系統解析の結果、コマハゼ類は別の属に近縁であることが判明しました。一方、ミミズハゼ属自体の単系統性についても議論があり、今後の研究が待たれます。

主な種類

ミミズハゼ Luciogobius guttatus
オオミミズハゼ Luciogobius grandis
イドミミズハゼ Luciogobius pallidus
ドウクツミミズハゼ Luciogobius albus
ユウスイミミズハゼ Luciogobius fontigola
ナガレミミズハゼ Luciogobius fluvialis
ミナミヒメミミズハゼ Luciogobius ryukyuensis*

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