ミラーを拭く男

映画『ミラーを拭く男』

2004年8月21日に公開された日本映画『ミラーを拭く男』は、サラリーマンが事故を契機に家族との関係を見つめ直す感動的なストーリーです。先行公開は2003年10月に行われ、サンダンス・NHK国際映像作家賞に入賞した作品でもあります。

あらすじ

物語は、定年を控えたサラリーマン、皆川勤が交通事故を起こすところから始まります。この事故は軽傷者を出すものでしたが、被害者が執拗に金銭を要求し続けることで、皆川は次第に追い詰められていきます。彼は妻の紀子に対応を任せきりにし、心を閉ざしたままの日々を送ります。そんな中、子どもたちへの冷たい態度を持つ息子の芳郎と娘の真由美も、父を遠ざけていきます。

皆川は、突然会社を辞める決断をし、市内のカーブミラーを拭くことを始めます。これは、3年前の事故以来汚れていたミラーをきれいにすることで、少しでも交通安全に寄与しようというボランティア活動です。しかし、皆川はその活動の背後にある真の意味に気づくまで、家族から離れ、全国のカーブミラーを拭く旅へと出かけます。家族との関係の崩壊から再生へと向かう過程を描いた物語です。

キャスト

• - 皆川勤（演 - 緒形拳）

63歳のサラリーマンで、事故後、ミラー拭きのボランティアを行いながら全国を巡ります。彼の寡黙な性格と実直さは、3年前の事故によって大きく変わっています。

• - 皆川紀子（演 - 栗原小巻）

勤の妻で、夫の事故以来の苦労が絶えません。特に、被害者の祖父とのやりとりに悩まされます。

• - 皆川真由美（演 - 国仲涼子）

勤の娘。父による事故を不公平だと感じ、家庭内の緊張を和らげることには苦労しています。

• - 皆川芳郎（演 - 辺土名一茶）

勤の息子で、交通事故の後、家族の間に生まれた亀裂に不満を抱いています。

• - 鴇田ひかり（演 - 水野久美）

勤の姉で、家族間の問題に目を向ける役回りを担います。

• - 佐々木智和（演 - 小倉一郎）

地元の土木職員で、皆川のボランティア活動に理解を示します。

この映画は、事故という悲劇を乗り越えようとする一家の姿を描きながら、個々の思いや葛藤をリアルに映し出しています。事故がもたらした影響は家族の絆を脅かしますが、それを乗り越える力がどこにあるのかを考えさせられる作品です。皆川の旅は、家族との再生を目指す過程でもあり、観客にも希望の光を与えるものとなっています。心温まる物語を通じて、私たちが見過ごしがちな日常の大切さを再確認させてくれる作品が、ここにあります。

もう一度検索