ミラージュIII (戦闘機)

ダッソー ミラージュIII

ダッソー ミラージュIIIは、フランスのダッソー社によって開発された戦闘機で、そのデザインに特有のデルタ翼を採用しています。この優れた性能の機体が各国に輸出され、多くの場所で運用されています。

開発の背景

1952年、フランス空軍は軽戦闘機の研究に着手しました。翌年、朝鮮戦争の教訓を受けて新たな性能要求が提示され、ダッソー社はその応答としてミステール・デルタを改良した機体を提案しました。当初、いくつかの航空機メーカーが候補を出しましたが、最終選考にはミステール・デルタが残りました。しかし、これらの機体は小型すぎることが問題となり、フランス空軍は1956年にマッハ2を超える新世代戦闘機の開発を要請しました。

この要請を受け、ダッソー社はミステール・デルタの性能を向上させた機体を製作し、1956年11月17日に初飛行を達成しました。初期の飛行テストでは速度の限界が課題として浮上し、改善に努めた結果、1957年にはミラージュIII Aが正式採用されることとなりました。翌年にはマッハ2を超える記録を樹立し、ヨーロッパ諸国で初めてこの速度に到達した戦闘機として認識されました。

主要なバリエーションと性能

ミラージュIIIシリーズは多くの型が存在します。C型から本格的な生産が始まり、シラノ火器管制レーダーやDEFA 552 30mm機関砲を装備した多機能型として発展しました。特にE型は、運用の幅を広げるために戦術核兵器の運用能力も付加され、183機がフランス空軍に納入されました。これに対する複座型としてD型があり、これも重要な訓練機となりました。

さらに、ミラージュIII R型は偵察機型として改造され、ドップラー航法レーダーを搭載した全天候型も存在します。こうした機体はさまざまな国で運用され、その性能の高さから広く人気を集めました。最終的には、試作機の初飛行から36年後となる1992年に、最後の機体が完成しました。

実戦での活躍

ミラージュIIIは多くの国で実戦に使用され、その中でもイスラエルでは特に多く導入され、第三次中東戦争でその能力を発揮しました。イスラエル空軍はミラージュIIIに『シャハク』の愛称を付け、空対空及び対地攻撃において大きな戦果を上げました。しかし、同時にレーダーの信頼性の低さやミサイルの威力不足が問題視され、イスラエル空軍は機関砲を利用した射撃や手動による測距に改良を加えました。このような試行錯誤の中で、運用能力が大幅に向上しました。

他にも、アルゼンチン空軍はフォークランド紛争でミラージュIIIを運用しましたが、限られた燃料搭載量のため限定的な活動しかできず、1機が撃墜されました。また、印パ戦争や南アフリカのブッシュ戦争などでもその姿が見られました。

結論

ダッソー ミラージュIIIは、その先進的な設計と高い性能によって、多くの国で重宝される戦闘機となりました。特に、無尾翼デルタ翼の採用によって、運動性能と高速飛行能力を兼ね備えた機体として評価されています。こうした特徴と歴史を持つミラージュIIIは、今なお多くの国で活躍し続けています。

もう一度検索