ミリオンズ

ミリオンズ：神様からの贈り物か、それとも…

2004年、イギリスで公開された映画『ミリオンズ』は、7歳のダミアンと10歳のアンソニーという、母親を亡くした兄弟の物語です。父親のロニーと共にマンチェスター郊外で暮らす彼らは、ある日、自宅近くの空き地で22万ポンドもの大金が入ったバッグを偶然発見します。

ダミアンは、この大金が神からの贈り物だと信じ、兄のアンソニーと共に父親には内緒で隠匿することにします。信心深いダミアンは貧しい人々に施しをしようとしますが、一方で、現実主義者のアンソニーは、この金を自分の欲しい物に使い始めます。

そんな中、学校の募金活動でダミアンは1000ポンドもの大金を寄付してしまいます。この行為をきっかけに、アンソニーは実はそのお金が窃盗団のものであることをダミアンに打ち明けます。

父親を学校に呼び出した校長先生への対応、そして、チャリティワーカーのドロシーとの出会い。様々な出来事が重なり、兄弟と父親、そしてドロシーの複雑な人間関係が描かれていきます。兄弟は当初、大金の存在を隠蔽しようとしますが、状況は次第に複雑さを増していきます。

ドロシーは、ポンドからユーロへの通貨変更期限が迫る中、募金活動に奔走する慈善活動家です。彼女は、父親ロニーと親しくなり、兄弟の生活にも深く関わっていきます。彼女の登場によって、兄弟の周囲はさらに混とんとした様相を呈していきます。

やがて、大金の存在は父親とドロシーに知られ、さらに窃盗犯まで兄弟の前に現れます。窃盗犯は、大金を奪い返そうと兄弟を脅迫します。

通貨変更の期限が迫る中、兄弟と父親、そしてドロシーは、大金をユーロに両替しようと奔走します。銀行は人で溢れ、緊迫した状況の中、彼らはなんとか両替を済ませることができたと思われました。

しかし、緊張感の続く日々の中で、兄弟の間に疑心暗鬼が生まれ始めます。ダミアンは、家族やドロシーを疑い始めます。そして、窃盗犯からの脅迫電話を受けたダミアンは、家族を変えた大金への悲しみや葛藤を募らせていきます。

最終的にダミアンは、大金を燃やそうと決意します。この行為は、大金がもたらした混乱と、それに対する少年の純粋な心の葛藤を見事に表現しています。

登場人物たちのそれぞれの思惑が交錯する中、兄弟の成長や家族の絆、そして金銭の持つ力について深く考えさせられる作品です。

主要登場人物

ダミアン: 純粋で信心深い少年。聖人に語りかけ、悩みを相談する。大金を得てからも、困っている人々に施しをしたいという優しい気持ちを持つ。
アンソニー: ダミアンの兄。現実的で抜け目のない性格。大金を自分の欲求を満たすために使おうとする。
ロニー: ダミアンとアンソニーの父。シングルファザーとして子供たちを育てる。
ドロシー: チャリティワーカー。明るく親切だが、複雑な思惑も抱えている。
* 窃盗犯: 大金を奪われた窃盗団の一味。執拗に大金を追いかける。

映画の魅力

『ミリオンズ』は、単なる子供向け映画ではなく、大人も楽しめる奥深い内容を持っています。ユーロへの通貨変更という現実的な設定、そして子供たちの視点から描かれる大人の世界は、観る者に多くのことを考えさせます。家族愛、金銭の価値、そして人間の善悪といった普遍的なテーマが、巧みに織り込まれています。

子供たちの演技も素晴らしく、特にダミアン役のアレックス・エテルの純粋な表現力は印象的です。緊迫感とユーモアのバランスが絶妙で、最後まで飽きることなく見入ってしまう作品です。

もう一度検索