ミルク・アンド・ハニー

ミルク・アンド・ハニー

『ミルク・アンド・ハニー』（英: Milk And Honey）は、ジョン・レノンの死から4年後に当たる1984年にリリースされたアルバムです。この作品は、1980年にレノンが録音した未発表音源と、未亡人であるオノ・ヨーコの新曲を組み合わせたコンピレーションアルバムであり、オノ自身が監修を行いました。

背景

1980年8月から10月にかけて、レノンは彼の遺作となる『ダブル・ファンタジー』のためにレコーディングを行いました。このセッションでは、全22曲が録音され、しかし最終的にはアルバムに収められなかった未発表曲が存在しました。レノンはこれらの曲を使って次のアルバムを制作したいと考えていましたが、1980年末に彼が突然亡くなったため、この計画は頓挫しました。

その後、オノは自身のソロアルバム『シーズン・オブ・グラス』や『イッツ・オールライト』をリリースしながら、心の整理をしつつ、レノンの未発表曲を発表する準備を進めました。アルバムは、レノンとオノの楽曲が交互に収録される形で構成されています。

アルバムの制作

本作には、6曲のレノンの楽曲が含まれており、そのうち5曲は『ダブル・ファンタジー』の録音セッションで収録されたものです。ただし、これらの曲はオーバーダビングやミキシングが施されておらず、若干のイ編集やエフェクトが加えられました。また、「グロウ・オールド・ウィズ・ミー」は、唯一、レノンが自宅でカセットに録音したデモ音源から選ばれており、音質の向上のためにリバーブなどのエフェクトが適用されています。

オノの楽曲も6曲あり、これには『ダブル・ファンタジー』からの2曲に加えて、新たに録音された3曲とホーム・デモ音源から選ばれた曲が含まれています。

タイトルの由来

アルバムのタイトルは、旧約聖書『出エジプト記』から取られたもので、神がモーセにイスラエルの民をエジプトから救い出すときに語った「豊かな土地」というフレーズが背景にあります。オノによれば、このタイトルには、イギリス人のレノンと日本人のオノが、アメリカという「豊かな土地」を求めて旅をするという想いが込められています。

ジャケットとリリース

アルバムのジャケットは、1980年9月にセントラル・パークで撮影されたもので、日本の写真家篠山紀信によって制作されました。当初はレノンとオノのハート型の写真を使用する予定でしたが、試みがうまくいかなかったため、別のカットが選ばれ、前作との関連性が印象付けられる形になりました。

このアルバムは、オノが前作を出していたレコード会社ゲフィンと不仲になった後、ポリドール・レコードと契約してリリースされたもので、前作ほどの商業的成功は収められなかったものの、イギリスで3位、アメリカで11位、日本で3位にランクインするなど、高い評価を受けました。

デジタルリマスターと再発

2001年にはボーナストラックを含むデジタルリマスター版『ミルク・アンド・ハニー〜ニュー・センチュリー・エディション』が発売され、レノンの死の直前に行われたインタビューも収められました。本作は音楽史における重要な作品であり、多くのファンに親しまれ続けています。

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