ミロ・マナラ

ミロ・マナラは、1945年9月12日にイタリアのボルツァーノ自治県ルゾーンで生まれた漫画家です。官能的で魅惑的な女性像を描く作品を多数発表し、エロティック漫画の分野で国際的に最もよく知られた存在の一人です。

美術学校を卒業後、ヴェローナに移り、スペインの彫刻家ミゲル・ベロカルのもとで助手を務めました。この時期にフランスの漫画文化であるバンド・デシネに触れ、その表現の多様性に強い感銘を受けます。彼の漫画家としてのキャリアは、1968年にポケットサイズの一般向け漫画の仕事から始まり、翌1969年には『ジェニウス』で公式にデビューを果たしました。当初はイタリア国内の漫画雑誌を中心に活動していましたが、1976年に孫悟空をモチーフにした作品『猿』がフランスの漫画誌アルテ・リニュスに掲載されたことをきっかけに、活動の場をフランスにも広げることになります。

1978年には、フランスの漫画誌ア・シュイーヴルで『ジュゼッペ・ベルグマン』シリーズの連載を開始しました。このシリーズには、HPというキャラクターが登場しますが、これはマナラが漫画の師と仰ぎ、深い親交を持っていたウーゴ・プラットがモデルとされています。マナラは後に、19世紀の南北アメリカ大陸を舞台にした冒険作品『全てはまたインディアンの夏と共に始まった』（1981年発表）や『エル・ガウチョ』（1993年発表）で、プラットと共同で制作を行っています。

1983年に発表された『デクリック』は、遠隔操作によって女性の性的な欲望が解放される様子を描き、大きな話題となりました。この作品以降、彼はエロティシズムをテーマにした作品を精力的に発表していきます。体を透明にする塗料を使った『見えざる香り』（1986年）、その続編である『隠しカメラ』（1988年）、若い女性がガリバー旅行記のような冒険をする『ガリバリアーナ』（1996年）などがその代表例です。これらの作品群を通じて、彼はエロティック漫画の第一人者としての評価を不動のものにしました。1987年には、ウーゴ・プラットとの共作『全てはまたインディアンの夏と共に始まった』が、アングレーム国際漫画祭の外国語作品部門で最優秀作品賞を受賞しています。

漫画制作以外にも、マナラは様々な分野で才能を発揮しています。特にイタリアの著名な映画監督フェデリコ・フェリーニとは深い親交があり、映画『インテルビスタ』（1987年）や『ボイス・オブ・ムーン』（1990年）のポスターデザインを手がけたほか、フェリーニの未公開シナリオを基にした漫画作品『トゥルムへの旅』や『G・マストロナの旅』を刊行しました。また、チリの映画監督で漫画原作者でもあるアレハンドロ・ホドロフスキーとは、ルネサンス期の貴族ボルジア家を題材にした大作『ボルジア』シリーズで共に創作活動を行っています。近年はアメリカ合衆国にも活動範囲を広げ、アメリカンコミックスの著名な原作者であるニール・ゲイマンともコラボレーションを実現しています。その功績は高く評価され、1998年にはハーベイ賞のジャック・カービーの殿堂入りを果たしています。

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