ミンダウガス2世

ミンダウガス2世：幻のリトアニア国王

ミンダウガス2世（Mindaugas II, 1864年5月30日 - 1928年3月24日）は、20世紀初頭の激動期に、リトアニア王国の国王として短期間その名を歴史に刻みました。本名はウラッハ公ヴィルヘルム2世。ドイツ貴族でありながら、リトアニアの王に選ばれ、そして戴冠することなく廃位された、波乱に満ちた生涯を送りました。

生い立ちと軍歴

ヴュルテンベルク王家の傍系に生まれたヴィルヘルムは、幼少期をモナコで過ごしました。母がモナコ大公の代理として政務を執った影響で、フランス文化に親しんで育ちました。一族の慣習に従い軍人の道へ進み、第一次世界大戦では将軍としてポーランド、セルビア、ベルギーを転戦。その軍事的な手腕を発揮しました。

モナコ大公位継承権とアルバニア公候補

母方の血筋からモナコ大公位の継承権も有していましたが、フランスの意向により、ルイの庶子シャルロットが後継者となりました。また、1913年にはアルバニア公の候補にも挙がりましたが、最終的にはヴィルヘルム・ツー・ヴィートが選出されました。

リトアニア王としての短い期間

1918年7月4日、リトアニア評議会はヴィルヘルムをリトアニア王として招聘することを決定しました。彼は7月11日にこれを受諾し、ミンダウガス2世を名乗ることになります。彼が選ばれた背景には、以下の要因がありました。

カトリック信者であること（リトアニアは伝統的にカトリック国）
ドイツ皇帝ヴィルヘルム2世の支配を嫌うリトアニアにとって、ホーエンツォレルン家の一員ではないこと
実績のある軍人であること
ロシアからの侵攻に対するドイツの支援への期待

しかし、彼の即位は最初から議論を呼びました。評議会内には反対者もおり、彼はリトアニアを訪問することなく、ドイツのリヒテンシュタイン城に留まりました。そして、第一次世界大戦におけるドイツの敗戦が濃厚になると、リトアニア評議会は彼を王とする決定を覆し、共和国としての独立を選択しました。その結果、ミンダウガス2世は、わずか4ヶ月という短い期間で王位を失うことになったのです。

子女とその後

アマーリエ・イン・バイエルンとの間に9人の子を儲けました。アマーリエは、ポーランド・リトアニア共和国時代の王であるアウグスト3世とスタニスワフ・レシチニスキの血を引いており、このこともヴィルヘルムがリトアニア王に選ばれる要素となっていたと言われています。その後、ヴィルトルート・フォン・バイエルンと再婚しましたが、子供は生まれませんでした。

ミンダウガス2世の短い治世は、リトアニアの独立と国家形成における複雑な力関係を示す象徴的な出来事と言えるでしょう。彼は幻の国王として、リトアニアの歴史にその名を刻んでいます。

もう一度検索