ムンダ語派

ムンダ語派：インド東部の言語群

インド東部からバングラデシュにかけて、約900万人のムンダ族の人々が使用するムンダ語派は、アウストロアジア語族に属する言語群です。カンボジア語やベトナム語が含まれるモン・クメール語派と姉妹関係にあると考えられていますが、その起源は詳らかになっていません。しかしながら、この地域に古くから存在する言語であると考えられています。

ムンダ語派の中で、特に話者数が多いのはサンタリ語とムンダリ語です。サンタリ語はジャールカンド州の公用語にも指定されています。ムンダ語派は、サンスクリットやドラヴィダ語族といったインドの他の言語群と相互に影響を与え合い、複雑な言語接触の歴史を垣間見ることができます。サンスクリットからの借用語も多く、一方でムンダ語派からの借用語が他のインドの言語に見られる例もあります。

ムンダ語派の分類

ムンダ語派は、地理的に大きく北部と南部に分類されます。

北部ムンダ語群: ジャールカンド州、ベンガル州、オリッサ州のチョーター・ナーグプル台地に分布。ムンダ語派の約9割を占め、サンタリ語、ムンダリ語、ホー語、コルク語、ソラ語などが主要な言語として挙げられます。これらの言語は、比較的多くの話者数を有しています。
南部ムンダ語群: オリッサ州の中央部とアーンドラ・プラデーシュ州との境界付近に分布。北部語群に比べて話者数は非常に少ないです。ソーラ語、ボンダ語、ガダバ語、パレンガ語などが含まれますが、これらの言語に関する研究は北部語群に比べて進んでおらず、詳細な情報はまだ不足しています。

その他、北部、南部以外に分類される言語や、少数の話者しかいない言語も多く存在します。これらの言語については、研究が進んでおらず、詳細な分類や言語学的特性は不明な点が多く残されています。

主要な言語一覧

以下に、代表的なムンダ語派の言語を挙げ、それぞれの言語の名称を記載します。表記ゆれがある場合は、複数の表記を併記しています。

北部語群

サンタル語（サンターリー語）
ムンダリ語（ムンダーリー語）
ホー語
ブミジュ語
コルク語（コールクー語）
コルワ語（コルワー語）
アスル語（アスリー語）
ビルホル語（ビールホール語）

中央語群

カリアー語
ジュアング語

南部語群

ソーラ語（ソーラー語、サオロ語）
ボンダ語（ボンド語、レモ語）
ガダバ語（グトブ語）
パレンガ語（ゴルム語）

ムンダ語派の特徴

ムンダ語派には、他のインドの言語には見られない独特の文法上の特徴があります。代表的な特徴として以下の点が挙げられます。

3種の数: 単数、双数、複数の3種類の数詞体系を持ちます。
2種の名詞クラス: 活動体と不活動体の2種類の名詞クラスを区別します。これは、文法的に名詞の役割を分類するシステムです。
一人称複数代名詞の包括・除外: 「私たち」を表現する際に、話し相手を含むか含まないかで異なる語形を使用します。
時制の表現: 時制を表現するために、動詞に接辞や助動詞を付加します。

これらの特徴は、ムンダ語派が他のインドの言語とは異なる独自の発展を遂げてきたことを示唆しています。今後もさらなる研究によって、ムンダ語派の言語学的特徴や歴史が明らかになることが期待されます。

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