メアリー・ピックフォード

メアリー・ピックフォードの生涯と業績

メアリー・ピックフォード（Mary Pickford）は1892年4月8日にカナダ・トロントで生まれ、本名はグラディス・マリー・スミスです。アイルランド系カトリックの家庭に育った彼女は、幼少期から才能を発揮し、7歳からは子役として劇団での活動を始めました。その後、ニューヨークに移り、ブロードウェイでの舞台出演を果たし、演技キャリアをスタートさせます。

1909年、ピックフォードは名監督D・W・グリフィスの目に留まり、映画業界でのキャリアが始まります。彼女の小柄で若々しい外見は、特に無邪気な少女の役柄にぴったりで、多くの観客から愛されました。実際、彼女は年間100万ドル以上を稼いだ最初の女優として知られ、同時期の他のスターたちに比べて慎ましい生活を心掛け、貯金にも励む倹約家でした。

1916年、ピックフォードは自身のプロダクション「メアリー・ピックフォード・カンパニー」を設立し、自分が出演する映画のプロデューサーとしても活動し始めます。また1919年には、著名な映画製作者たちとともに映画制作・配給会社「ユナイテッド・アーティスツ」を共同設立し、同社の成功にも貢献しました。彼女主役の『青春の夢』や『小公子』は、その成功を象徴する作品です。

1922年にはドイツの映画監督エルンスト・ルビッチをハリウッドに招き、映画『ロジタ』に出演。1930年代には、アカデミー主演女優賞を受賞した『コケット』を含む数々の名作に出演し、女優としての地位を確立しました。ピックフォードは、映画界における女性の役割を大きく広げた先駆者といえます。

ピックフォードは1933年に俳優業を引退し、その後はプロデューサーや実業家として活動を続けました。彼女は化粧品会社を設立するなど、多方面での成功を収めました。1975年にはアカデミー名誉賞を授与され、83歳でその生涯を閉じました。プライベートではダグラス・フェアバンクスと結婚し、互いに「ピックフェア」と呼ばれ親しまれるようになりましたが、1936年に離婚しています。

彼女の名言「失敗とは転ぶことではなく、転んだまま起き上がらないことです」は、人生の教訓を示すもので、多くの人々に影響を与え続けています。メアリー・ピックフォードは、映画史に残る偉大な女優であり、また業界に新たな道を切り開いた重要な人物です。彼女の功績は、映画の歴史の中で色あせることなく語り継がれています。

主な出演作品

いくつかの代表作を挙げてみましょう。

• - 『死の歌 A Pueblo Legend』（1912年）
• - 『落花流水 Caprice』（1913年）
• - 『シンデレラ Cinderella』（1914年）
• - 『小公子 Little Lord Fauntleroy』（1921年）
• - 『コケット Coquette』（1929年） － アカデミー主演女優賞受賞

ピックフォードはその名を冠したカクテルもあり、ラム酒とパイナップル・ジュースを使用した飲み物として広く知られています。また、彼女に関連する文化的な記録も多く、谷崎潤一郎の小説『痴人の愛』にも彼女の名が登場します。メアリー・ピックフォードの影響は、映画の枠を超えた多くの分野に広がっています。

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