メケオ族

メケオ族は、南太平洋に位置する国、パプアニューギニアに暮らす、独自の文化を持つ少数民族の一つです。彼らの居住する地域は、広大なニューギニア島の南東部、特にパプア地方の中央部に位置しています。この土地は植物の生育に適した肥沃な土壌に恵まれていますが、一方で季節によっては周期的な洪水に見舞われる自然環境の厳しさも抱えています。

メケオ族の人々は長い歴史の中で、土地を耕し作物を育てる農耕と、周辺の水辺での漁労を中心に生計を立ててきました。古くから彼らの主食として重要な役割を果たしてきたのはヤムイモです。彼らは土地の恵みを活用したヤムイモの栽培に加え、水辺での漁によって日々の食料を確保し、生活を営んでいました。しかし現代社会の影響を受け、メケオ族の生業の形態は大きく変化しています。現金収入を得るための賃金労働に従事する人々が増加しており、これが伝統的な生活様式からの変化をもたらしています。さらに、自らの消費のためだけでなく、市場で販売することを目的とした米の栽培も導入されており、換金作物の導入による生業の多様化が進んでいます。

彼らの社会構造もまた、時代の変遷とともに大きな影響を受けています。かつて存在した伝統的な社会行動様式は崩壊し、往時の姿を失ったとされています。しかしながら、村という共同体のレベルにおいては、現在でも血縁に基づく父系集団が組織の中心として機能しており、人々の生活や社会関係の基盤となっています。この父系集団が、地域社会における様々な活動や組織の維持において重要な役割を担っていると考えられます。

宗教面においても、メケオ族は大きな変化を経験しています。彼らが古くから信仰してきた祖先を敬う伝統的な宗教観は、今日ではほとんど見られなくなりました。これは、外部からもたらされたキリスト教、特にその伝道活動や、太平洋地域特有の現象とされる船荷信仰（カーゴカルト）が広く普及したことによって、その伝統的な宗教観が置き換えられてしまったためです。カーゴカルトは、西洋の物資（カーゴ）の出現に神秘的な意味を見出し、祖先の霊などがもたらすと信じる信仰形態であり、これもメケオ族の人々の信仰に影響を与えました。

このように、メケオ族はパプアニューギニアの自然環境に適応しながら、伝統的な生活を営んできましたが、近年では外部からの社会経済的、文化的な影響を受けて、その生業、社会構造、宗教といった様々な側面に大きな変化が生じています。この変化は、彼らの文化や生活様式の近代化への適応を示すものであると言えるでしょう。

参考文献として、平凡社が1978年に刊行した『世界の民族 1』の《オーストラリア・ニューギニア・メラネシア》に関する記述が参照されています。

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